中国国家知識産権局(CNIPA)はこのほど、「専利審査指南改正案(意見募集稿)」を公表し、広く意見を求めている。同局関係者によれば、今回の改正案は、新技術分野やビジネス形態に対応した専利審査指南の整備を目的としており、審査実務で早急な解決が求められ、かつ関係者間で合意が得られた事項を対象としている。
改正案では、実体審査部分において植物関連技術の知的財産権保護を強化するため、従来の「植物」の定義を削除し、新たに「植物品種」の定義を追加した。この定義は「中華人民共和国種子法」と整合しており、従来は品種権の対象とならなかった育種材料についても、特許権の取得が可能となる。
さらに、人工知能(AI)やビッグデータ分野に関連する新規定が設けられた。具体的には、AIやデータ活用技術に関する特許出願について、必要に応じて明細書の内容を詳細に審査する方針が明記された。また、出願書類に記載されたデータ収集、ラベル管理、規則設定、推薦判断などの内容が法律や社会倫理に反する場合、特許を付与しないことが規定されている。
特に注目されるのは、AI技術の倫理的側面を考慮した審査基準の導入である。例えば「無人運転車両の緊急意思決定モデルの構築方法」を事例に挙げ、AI技術の実施が倫理観念に反する場合、特許法第5条第1項の「社会倫理に反する発明」に該当し、特許が認められないことを明確にした。
加えて、AIアルゴリズムの「ブラックボックス」問題に対応するため、明細書には技術内容を十分に開示することが要求され、アルゴリズムやモデルの詳細が不十分な場合、特許要件を満たさないと判断される。
出所:国家知識産権局公式サイト