「景品」としての使用は商標の不使用取消を免れるでしょうか?
時間: 2025-04-01 劉璐璐 アクセス数:

景品販促は効果的な販促手段として企業に広く利用されており、実務上、多くの企業が商標の景品での使用が商標使用の証拠となり得るか、またどのような証拠が有効な使用証拠となるかといった問題に関心を寄せています。


  •  関連規定

2016年から2021年に実施された「商標審査審理基準」第7部分「登録商標取消事案の審理標準」には下記の規定があります。

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しかし、2022年1月1日施行の「商標審査審理ガイドライン」の第17章「登録商標取消事案の審査及び審理」において、「単に景品として使用されている」は商標法上の商標使用と見なされない情形として列挙されなくなりました。商標法第48条は「この法律で商標の使用とは、商品、商品の包装若しくは容器及び商品取引書類上に商標を用いること、又は広告宣伝、展示及びその他の商業活動中に商標を用いることにより、商品の出所を識別するための行為をいう」と規定しています。これにより、この条文に列挙された「商品・商品の包装」などの商標使用方式に加え、「その他の商業活動」における使用も商標法上の商標使用と認められることがわかります。「商標法」と「商標審査審理ガイドライン」の規定を総合的に考慮すると、景品は直接の対価を伴わないものの、その本質は依然として商業活動の一部であり、登録商標が表示された商品が景品として市場流通領域に入った場合、商標法上の商標使用と見なされべきです。


  • 先行事例

第18754103号「經典水星」商標不使用取消請求事件において、商標局は「商標権者が提出した企業情報・関連記事は請求商標の使用資料に該当せず、製品写真は自己作成証拠で証明力が弱く、販売契約書には「經典水星家居服セット」「經典水星ルームサンダル」「經典水星睡眠アイマスク」が景品である旨と記載されているのみで、販売インボイスとの完全な対応関係が確認できず、これらの商品が実際に景品として市場に流通し消費者に到達した事実を認定するのは困難」と判断しました。これにより、提出された証拠は完全なる証拠チェーンを形成できず、請求商標が指定期間中に衣類等の全指定商品において公開的・真实的・有効な商業使用が行われたことを証明できないとして、登録取消が決定されました。ただし、この事例では商標権者が提出した証拠が完全な証拠チェーンを形成できなかったため登録取消となったものの、商標局は景品としての使用も商標使用方式の一つであることを認めています。


  •  「景品」として使用する際の注意点

上記事例において、商標権者が提出した販売契約書には「經典水星睡眠アイマスク」が景品として記載されていたものの、対応する出荷・受領記録、物流記録、商談過程などの補強証拠がなく、完全な証拠チェーンを形成できなかったため、登録取消と決定されました。景品としての使用が商標法上の商標使用と認められる場合であっても、提出する使用証拠は依然として完全な証拠チェーンの要件を満たす必要があります。この要件を満たすため、企業は調達・販売・宣伝の各段階において、以下のような使用証拠を意識的に保存する必要があります(以下に限りません)。


1.景品調達契約書及びインボイス
2.商標及び景品名称が記載された販売契約書
3.商標及び景品名称が確認できるECプラットフォームの販売データ(例えば、「注文詳細-景品情報」と明記)
4.景品配送の出荷明細及び物流記録(景品と商品を同梱配送する場合、出荷明細に「A商品及び景品」と明記)
5.消費者フィードバック(例えば、SNSでの投稿、ECプラットフォームの評価など。これにより、景品が末端市場に到達したことを補強)
6.「A商品購入で景品進呈」を明示した広告の記録


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