当所代理の日本企業が特許権侵害訴訟で勝訴、300万元の損害賠償金獲得!
弊所が代理した原告のハリーズ株式会社(以下、ハリーズ社と略称する)は、被告である韓国の株式会社PDT(以下、PDT社と略称する)に対し、中国の広州知的財産裁判所にPDTの侵害製品の差し止め及び損害賠償などを求め、特許権の侵害訴訟を提起した。広州知的財産権法院は、法廷審理及び現場調査を行った結果、PDT社がハリーズ社の特許権を侵害していると認め、侵害製品の製造・販売の差し止め、及び300万元の損害賠償をPDT社に命じる判決を下した。
【案件背景】
ハリーズ社は2000年に設立され、ガラス加工装置、ロールツーロール/自動化装置、RFID装置の研究開発と製造を専門とする日本の創造型企業であり、高速・高精度の製造工程を融合することで、革新的且つ高付加価値の機器の開発・製造を行い、国際市場でも競争力のある製品を生み出している。
本件と関連し、ハリーズ社は「薄板状物加工装置及び薄板状部材の製造方法」であり、特許番号がZL201410267474.2である特許権を保有している。2017年6月に、ハリーズ社は韓国PDT社が中国シンセン市の展覧会でガラス蓋板CNC装置を宣伝していることを発覚した。また、調査を行ったところ、当該韓国会社が被疑侵害製品を既に中国会社に製造・販売したことがわかった。
そこで、ハリーズ社は、PDT社の被疑侵害製品を製造・販売する行為、及び販売の申し出行為が自社特許権の侵害に該当し、且つ自社に重大な損失をもたらしたと判断した上、PDT社に対して侵害訴訟を提起することを弊所に依頼した。
【弊所対応】
案件受任後、弊所はハリーズと緊密に連携を取りながら、詳細な対応策を講じた。被疑侵害製品が大型の加工装置であるため、証拠収集が非常に難しいことを考慮し、立件時に法院に証拠保全を併せて申請した。本件の事実を判明するために、法院の調査員は現場調査を行い、被疑侵害製品の写真及びビデオ撮影を行って証拠を保全した。法廷審理及び現場調査における弊所の主張が認められ、差止請求が認められると同時に、請求賠償額についても法院に満額支持された。
【判決書要約】
ハリーズ社が主張した合計300万元の損害賠償と合理的な費用について、当院は満額で支持する。理由は、下記の通りである。
1.権利種類について、本件に係わる特許は発明特許であり、市場価値が高く、応用範囲も広いため、強力な司法保護が必要である。
2.侵害行為の性質について、PDT 社による製造、販売の侵害行為が確認され、且つ被疑侵害製品は文言侵害に該当する。PDT社が被疑侵害製品を製造する行為は販売などを含むその他の特許権侵害行為の基であり、しかも生産ラインが大規模である。また、本件調査事実によると、被疑侵害製品の販売価格は50万米ドルであり、原告製品とほぼ同額であることが明らかになった。原告と被告の製品は同じ競争市場に流通されているため、利益もほぼ同じであるはず、或は、被疑侵害製品は開発のコストがないため、原告製品よりも利益が高い。
3.侵害の継続期間が長い。本件調査の結果、被告の侵害行為は少なくとも2017年から今まで実施されており、侵害の継続期間が長いので、ハリーズ社の一部の市場シェアが奪われ、競争市場でハリーズ社に重大な損害をもたらしたことが明らかになった。
4.特許の技術的貢献度が高い。原告特許の技術案は、被疑侵害製品のコア技術であるため、被疑侵害製品への貢献度が高い。したがって、賠償額は高く確定すべきである。
5.合理的な支出について、ハリーズ社は自社権利を保護するため、大量の作業を行った。また、弁護士への依頼に弁護士費用を支払う必要がある。しかも、これらの合理的な支出を証明する証拠を提出した。上記の要素を総合的に考慮し、知的財産権保護を強化し、権利者の合法的な権益を保護するために、権利者が証拠を提出し且つ説明が合理的である状況下で、当院はハリーズ社が主張した賠償額が合理的であり、明らかな不適当がないと認めた。したがって、良好なビジネス環境を構築し、また賠償額の引き上げにより司法部門の知的財産権保護の断固とした姿勢をはっきり示すために、上記賠償請求額を満額支持する。
よって、「中華人民共和国民法総則」第179条、「中華人民協和国専利法」第11条、第59条、第65条の規定により、下記の判決を下す。
一、株式会社PDTは、本判決発効日より、ハリーズ株式会社の特許番号ZL201410267474.2、「薄板状物加工装置及び薄板状部材の製造方法」の発明特許権を侵害する被疑侵害製品を製造・販売する行為を即座に停止する。
二、株式会社PDTは、本判決発効日から10日以内にハリーズ株式会社に経済損失及び合理的な費用を合計300万元支払う。