中国国務院の李強総理が先日署名した国務院令により、「国務院による涉外知的財産紛争処理に関する規定」(以下、「規定」)が公布され、5月1日より施行されることとなった。「規定」は全18条からなり、涉外知的財産紛争の処理に関する具体的な枠組みを示している。
まず、サービスの強化が挙げられる。国務院の関係部門は、国外の知財情報検索サービスや警報体制を強化し、涉外知財紛争処理の指導機関や手続きを整備する。これにより、紛争処理における対応指導や権利保護支援を提供する。また、商事調停組織や仲裁機関の参画を支援し、法律事務所や知財サービス機関の能力向上を図り、国民や組織に効率的で便利な紛争解決手段を提供する。
次に、企業の能力強化が求められる。企業は法的意識を高め、内部規制を整備し、知財人材の育成に努める必要があるとし、国務院の関係部門は、企業向けの啓発や研修を行い、典型的な事例を通じて紛争処理の経験を紹介する。さらに、企業間で資金を出し合う「涉外知財保護相互支援基金」の設立や、保険会社による特許訴訟対応保険の開発を支援する。
また、国外での調査・証拠収集の規制も明確化される。国内での文書送達や証拠収集は、中国が締結または参加する国際条約や国内法に従って行われる。国外への証拠提供は、国家機密やデータセキュリティに関する法律を遵守し、必要に応じて主管当局の許可を得る手続きを履行する。
最後に、不公平な待遇に対する反撃措置が規定される。中国の国民や組織に国民待遇または十分かつ効果的な知財保護が提供されない場合には、国務院の主管部門は調査を行い、必要な措置を講じることができる。また、外国が知財紛争を口実に中国を抑圧したり、差別的な制限措置を取ったりした場合、関係部門は法的に対抗措置を講じることができる。
出所:中国政府網