第三者より出荷する場合のオンライン販売の侵害行為発生地の認定
時間: 2025-03-03 アクセス数:

——(2023)最高法知民轄終170号


【裁判要旨】

販売者が被疑侵害商品をオンライン販売し、購入者の注文後にのみ第三者から該当商品を購入し、第三者に購入者に直接商品を発送するよう指示するというように経営している(ドロップシッピング)場合、第三者の配送行為は販売者の配送行為とみなされ、その出荷地は販売者の出荷地とみなされる。出荷地は、販売者を被告とする権利侵害事件の管轄接続点を構成することができる。


【キーワード】

民事訴訟、実用新案権侵害、管轄異議申立て、管轄接続点、オンライン販売、販売場所、第三者出荷地、ドロップシッピング


【案件経緯】

厦門のある衛浴科技有限公司(以下、A社)は下記のように主張した。A社が特許番号201520371883.7、名称「水出口制御装置」の実用新案権の権利者である。2022年6月15日、公証人の監督の下で、A社の委託した代理人が公証役場から提供された携帯電話を使用して「淘特」アプリにログインし、汾陽市のあるネイルサロン(以下、B社)が経営する「ある園芸博物館内店」に入り、クリックして被疑侵害商品を注文した。B社は注文を受けた後、第三者から該当する商品を購入し、配送先住所にA社の住所を記入したそして、第三者は商品を直接A社に郵送した(所謂「ドロップシッピング」)。6月29日、公証人がYTOエクスプレスから荷物を受け取った。荷物伝票には、被疑侵害商品は湖北省武漢市東西湖区から発送されたもので、「拼多多」(Pinduoduo)の文字とロゴが付いている。そこで、A社は湖北省武漢市中級人民法院にB社を訴え、B社に対し、本件実用新案権の侵害を直ちに停止し、5万人民元の経済的損失を賠償するよう命じるよう求めている。


B社は、被疑侵害品の販売地と被告の住所がともに山西省汾陽市であり、湖北省武漢市中級人民法院には管轄権がなく、管轄権を有する山西省呂梁市中級人民法院に移送して審理すべきであると主張して、管轄権異議を申し立てた。


【裁判意見】

 法院の発効した判決には、次のように認定した。オンライン環境において、「最高人民法院による特許紛争事件の審理における法律適用に関する若干の規定」第2条に規定する販売行為発生地には、原則として、オンライン購入者の意思に左右されないオンライン販売者の主たる営業場所、被疑侵害製品の保管場所、出荷地または差押えの場所などが含まれるとされている。但し、オンライン購入者が任意に選択できるオンラインショッピングの配送先住所は、通常、オンライン販売行為の発生地として適していない。本件においては、A社が提出した証拠により、B社が被疑侵害商品のオンライン販売者であり、被疑侵害商品の出荷地が湖北省武漢市であることが証明されている。この出荷地は、オンライン購入者であるA社の意思に左右されないため、この出荷地が本件の管轄接続点となる。本件は、「購入者が注文を出した後、販売者が第三者から該当商品を購入し、第三者に指示して購入者に直接商品を配送する」(「ドロップシッピング」)という状況である。第三者の出荷元は、本件の当事者ではなく、販売者の指示に従って商品を発送しており、購入者と契約関係はない。したがって、第三者の配送行為は販売者の配送行為として認定され、第三者の出荷地は販売者の出荷地として認定されるべきである。本件の被疑侵害商品の出荷地は湖北省武漢市にあり、これに基づき、湖北省武漢市中級人民法院が本件に対する管轄権がある。

 

【法律根拠】

『中華人民共和国民事訴訟法』第29条(本件については、2022年1月1日より施行された『中華人民共和国民事訴訟法』第29条が適用される)

『最高人民法院による特許紛争事件の審理における法律適用に関する若干の規定』第2条



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