中国:商標局が審理を中止できる10種類の状況を明文化
時間: 2023-06-16 劉璐璐 アクセス数:

 最近、商標局が発行した「商標評審事件の審査審理業務制度」には、「評審事件審理中止(保留)に関する規範」が新たに追加され、審理を中止できる10種類の状況が明文化されました。その中に、7種類の状況は審理を中止すべきであり、3種類の状況は審理を中止することができます。「中止すべき」というのは、中止しなければならないとのことです。「中止できる」というのは、審査官の職権により、中止しなくても構わないとのことです。以下に「評審事件審理中止(保留)に関する規範」の主な内容を紹介します。


一、審理中止の原則

 必要性を原則とし、事件の審理において先行権利の確定などは審理結果に実質的な影響を与える場合にのみ審理を中止する。他の審理理由や他の権利状態が確定した先行商標に基づいて審理結論が確定できる場合には、審理を中止すべきではない。


二、明確に審理を中止すべき7つの状況

 (一)係争商標または引用商標が登録人名称変更、譲渡手続き中であり、且つ変更または譲渡後に係争商標または引用商標との抵触がなくなった場合。

 (二)引用商標が登録期間満了して更新手続きまたは更新の猶予期間内である場合。

 (三)引用商標が登録放棄または出願取り下げ手続き中である場合。

 (四)引用商標が取り消されたとき、無効宣告されたとき、又は期間満了しても更新されないときは、審理時に取消、無効宣告又は抹消の日から1年未満の場合(拒絶理由が商標法第50条に関係する場合)。

 (五)引用商標に係る事件について既に結論が出ており、結論が発行するのを待っている場合、又は発効した判決に基づく再審理を待っている場合。

 (六)関係する先行権利は、裁判所が審理中または行政機関が審理中の別の事件の結果を根拠とする必要がある場合。

 (七)関係する引用商標の権利状態は、裁判所が審理中または行政機関が審理中の別の事件の結果を根拠とする必要があり、かつ請求人が明確に審理中止の請求を提出する場合。


 上記(一)から(五)は拒絶査定不服審判、不登録決定不服審判、無効審判に普遍的に適用され、(六)は不登録決定不服審判、無効審判に特に適用され、(七)は拒絶査定不服審判に特に適用されます。


三、審理を中止できる3つの状況

 (八)拒絶査定不服審判事件に関係する引用商標は既に無効審判が請求され、かつ引用商標の登録人が他の事件で商標法第4条、第19条第4項、第44条第1項などの悪意による登録の情状に該当すると認定された場合、審理を中止することができる。

 (九)係争商標の件と同様または関連する事件が先に裁定または判決されるのを待つ必要がある場合、個別の事件の必要性に応じて審理を中止することができる。

 (十)その他の審理を中止することができる場合。


四、審理中止の手続き

 1. 期限要件:審査官による審理の中止申請は、定められた期間内に提出する必要がある。拒絶査定不服審判の請求人も、遅くとも拒絶査定不服審判請求の提出の日から3ヶ月の補充期間内に、引用商標に対して講じた障害除去の措置について書面で説明する必要がある。


 2. 方法:上記の(七)の場合では、拒絶査定不服審判の請求人が明確に審理中止の請求を提出する必要がある場合、審判理由とともに提出することができる。審理中止の請求には関連する引用商標の登録番号、手続き、及び本件との関係など具体的な状況を説明する必要がある。


 3. 中止の解除:原則として、誰が審理中止の申請を提出した場合、その申請人が中止の解除申請を行う。引用商標の権利状態が確定した後、申請人は対応する証拠資料を提出する必要があり、審査官が申請人の追加証拠を受け取り、且つ中止状況が解消されたことを確認した場合、審理を再開する。


 上記規定により、実務上の変化を下表のように纏めた。

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