クリスチャン・ルブタンの「レッドソール」商標の各国における登録状況
最近、中国では、クリスチャン・ルブタンの「レッドソール」商標に係る第二審は終わったが、登録できるかどうかは今定論されていません。
クリスチャン・ルブタンの象徴とも言えるレッドソール(赤い靴底のヒール)商標の中国以外の国における登録状況を紹介したいと思います。
アメリカ
アメリカでは2007年7月に出願し2008年1月に登録となっています。詳細は下記のとおりです。
しかしながら、アメリカでは商標として登録された後、その有効性が争われています。レッドソールはは単なる装飾を機能するか、あるいは商標として、出所を表示することを機能できるか、というのが論争の焦点と言えます。
クリスチャン・ルブタンとイヴサンローラン(YSL)の「レッドソール」商標権侵害訴訟に、裁判官はクリスチャン・ルブタンの「レッドソール」商標権を認めたが、靴底以外の部分の色とコントラストをなしている場合に限られ、イヴ・サンローランが使用できるとの判決を下しました。
ヨーロッパ
ヨーロッパ(EUTM)では2010年1月に出願し2016年5月に登録となっています。
アメリカと同じ、レッドソール商標は登録されているが、その識別力・有効性についての争議が引き続き存在しています。2013年5月に、Van Harenという、赤いソールの靴の販売をしていた靴の小売販売会社に対して、クリスチャン・ルブタンは商標権侵害を主張し、侵害訴訟を提出しました。クリスチャン・ルブタンの部分訴訟主張は支持され、Van Haren側が侵害に該当するとの判決は下されました。レッドソールの商標が「商品に実質的な価値を与える形状のみからなる標章」であり、識別力がなし、無効になるべきと主張し、Van Haren側は欧州司法裁判所(CJEU)に上訴しました。2018年6月に、CJEUの判断が下され、ルブタンの商標は有効なものとして存続することになると思われます。
日本
日本では2015年4月1日、色の商標が導入された同日に、クリスチャン・ルブタンはレッドソール商標を出願しました。
2016年4月に下記の拒絶理由が通知されました。
商標に使用される色彩は商品の特定の位置に付された色彩も含め、多くの場合、商品の魅力向上等のため選択がなされるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別するための標識として認識し得ません。本願商標は、単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎません。
さらに使用による識別力についても、証拠の不足と指摘されました。
クリスチャン・ルブタンも反論していますが、現在も結論はでていません。
韓国
韓国では位置商標は保護されないため、上図の商標は見つからず、下図のようなデザインの違う状態での普通商標登録が見つかりました。
上記の国における状況からみると「レッドソール」商標の識別力の有無、保護の可否、位置商標あるいは色の商標どちらで保護されるべきなど国ごとに判断が違うようです。中国でどのように判断されるのか興味深いところです。