新「商標法」の六つのポイントに関する解説
「中華人民共和国商標法」(以下は新「商標法」と省略する)は5月1日より施行される。今回の改正が商標出願、登録、管理、権利付与・権利確定、権利行使の各流れに関わっている。その中、いくつかのポイントがあり、企業に大きな影響があると思われる。北京市市場監督管理局(知識産権局)知識産権保護処処長劉飛等の専門家は、以下のように新「商標法」のポイントを解説している。
ポイント1
「音声」も商標として登録可能
内容:新「商標法」第八条に音声を商標として登録出願ができると規定している。
解説:音声商標は、一番よく使用されている非伝統的商標の一つで、主にマルチメディアなどの非伝統的企業及び有名な企業のコマーシャルで使用されている。例えば、映画、テレビ、ラジオの付随音楽や、製品アプリ或はその他の電子出版物の起動音楽、付随音楽など。これからは、よく知られているテンセント(Tencent)QQメッセージのビープ音、ノキア、インテル、アウデイなどの音声標識が商標として登録可能になったため、今まで、音声商標のない企業は新「商標法」に付与された商標権を利用して、音声を媒介としてマーケティングや宣伝を行うことができる。
ポイント2
宣伝において「馳名商標」という文字を使用するのは禁止
内容:新「商標法」第十四条第五項に「生産、営業者は「馳名商標」という文字を商品、商品のパッケージ或は容器に使用すること、又は広告宣伝、展覧及びその他の商業活動で使用することを禁止する」と規定し、該当規定に違反すると、第五十三条により、「地方の工商行政部門が修正の命令を下し、十万元を罰金する。」
解説:「馳名商標」はもともと知名度の高い商標をしっかりと保護するという法律概念であるが、長年を渡って、市場の営業者が「馳名商標」を栄光として製品或は宣伝活動に使用していた。
今回の新「商標法」には「馳名商標」を法用語に回復するため、「馳名商標」の宣伝と使用行為を禁止する規定を追加した。馳名商標を持っている企業は、「馳名商標」を広告宣伝に使用している場合、新「商標法」が施行される前に早めに調整し、「馳名商標」の宣伝を停止しなければならない。
ポイント3
誠実信用原則条項を追加
内容:新「商標法」第七条に「商標登録出願と使用申請をするのは、誠実信用原則に従わなければならない」と規定している。
解説:民事活動の従うべき基本原則を明確に「商標法」に記載し、市場主体が商標に関わる活動を行う際に誠実でなければならないとした。当該条項がこれからの商標の権利付与・権利確定及び権利行使に係わる案件で基本的条項として多く使用されると予測できる。
ポイント4
悪意による他人の商標を抜け駆け登録することの禁止
内容:新「商標法」第十五条には第二項の「同一又は類似の商品について出願する商標が、先に使用された他人の商標と同一又は類似で、出願者が当該他人との間で前項(代理又は代表関係)以外で定めている契約、取引関係又はその他の関係により当該他人の商標の存在を明らかに知っている場合、当該他人に異議を申し立てられた場合、登録してはならない。」
解説:本条項を追加するのは、他人が使用している商標が抜け駆け登録されることを回避するためであり、頻繁に発生する商標の抜け駆け登録を一層抑制することができる。
ポイント5
複数類別の商品について同一商標が出願可能
内容:新「商標法」第二十二条第二項に「出願人が1件の願書にて複数類別の商品について同一商標の登録出願を行うことができる」と規定している。
解説:「一標多類」は我国の商標出願制度を国際制度に統一するために行われる重大な変革である。該制度を制定するのは、出願人が複数類別の商標について同一商標の出願手続きを簡易化するためである。これは、大手で商品の種類が多く、商標権の保護を重視する企業に対して、疑いない朗報である。
ポイント6
悪意による権利侵害するものの支払う賠償額を三倍まで引き上げる
内容:新「商標法」には懲罰的賠償制度が導入され、商標専用権の悪意による侵害、情状が重大な場合は、権利侵害により実際に受けた損失、又は権利侵害により得た利益により確定することができるが、当該登録商標の使用許諾費用を参照しその1倍以上3倍以下の賠償金額を確定することができると規定している。また、新「商標法」では以上の三種類の根拠の確定が困難な場合は、人民法院が権利侵害行為の情状により、判決する賠償額を50万元から3百万元まで引き上げられた。
解説:以上は実践における権利者が権利行使を行うコストが高すぎ、権利行使を行っても、賠償を得られない現象に対する改正である。今回の改正は商標権利者の合法権利の保護、権利侵害行為への打撃に大役割を果たすことができる。
出典:深圳特区報