改訂後の「専利審査指南」が実施してから発明者の身分情報の記載について
ご存知かと思いますが、2025年11月13日に公布され、2026年1月1日から施行される中国審査指南改訂版には、「願書には発明者全員の身元情報を記載しなければならない。かつ、その情報は真実でなければならない。」という規定が追加されました。ご参考までに、この規定の目的などについてご説明させていただきます。
実務上、特に中国国内出願において、特許出願件数要件を満たすこと、不正に補助金を得ること、あるいは脱法行為をすることを目的として、発明者を捏造したり、虚偽の記載をしたりする事例が存在します。したがって、当該規定が追加された目的としては、主に特許出願の秩序を維持し、上記のような虚偽の発明者の記載に対処するためであると思われます。真の発明者全員の身元情報の記載を明示的に要求することで、こうした不正出願を根底から抑制し、特許の署名が真にイノベーションの貢献を反映するようにすることができます。
但し、改訂後の審査指南、及び審査指南に関するCNIPAの説明会のいずれも、発明者全員のどのような身元情報が必要であるかは明確にされていません。なお、弊所が把握している情報よりますと、外国人発明者の場合、発明者全員の国籍情報のみが必要となります。
上記を踏まえ、外国発明者について、CNIPAが後日正式に公表する規定には、発明者の国籍に関する情報のみが求められる可能性が高いと考えております。
つきましては、日本出願人が提出する、複数の外国人発明者に係わる特許出願について、下記のように提案を申し上げます。ご参考になれましたら、幸いでございます。
1.可能であれば2025年12月31日までに中国で出願の提出を完了することを提案いたします。これにより、発明者全員の身元情報を提出する必要がなくなります。(現行の規定では、第一発明者の国籍情報のみが必要となります。)
2. 2026年1月1日以降、CNIPAの電子出願システムにおいて、発明者全員の国籍情報等が必須にされるかどうかは現時点では不明です。もし必須にされた場合、提出しないと出願ができなくなります。したがって、2026年1月1日から1~2週間以内に出願期限が到来する場合は、不測の事態に備えて、外国発明者全員の国籍情報を事前に準備しておくことを提案いたします。
3.出願期限が緊急でない場合は、CNIPAからの正式な公表を待つか、2026年1月1日以降の実際の状況に基づいて発明者の身元情報を準備することを提案いたします。