弊所意匠特許権侵害代理案件の解決に成功
案件背景
2010 年年末、原告スワロフスキー社(以下「原告」と省略) は、義烏市永楊飾品有限公司(以下「被告」と省略)が中国小商品国際商貿城E3-8797 号店舗にて原告の有するZL02335681.2 号(以下「681 号特許」と省略)意匠特許権を侵害する疑いのある製品を販売しているのを発見し、被告に対して意匠特許権侵害訴訟を提起するよう、弊所に依頼した。
代理作業
原告は世界的に著名な企業で、中国において大量の意匠特許権を擁し、その681 号特許はデザインが独特であることから、複数の特許侵害訴訟に係っている。
弊所はご指示を受けた後、まず、被告に対して実地調査を行い、被告が自らの生産工場を有する他、中国小商品城国際商貿城E3-8797 とF3-160 号の2 箇所に販売店舗をもち、工場は対外的に製品を販売せず、販売店舗の工商登録情報がいずれも個人工商戸であったことが発覚した。よって、如何に工場の侵害の証拠を収集するかが本案件のキーポイントであった。
まず、 当該会社のネット上の侵害関連商品の情報をネット公証することを通して、工場が許諾販売の侵害行為を行っていることを証明した。その次に、調査員はそれぞれ2 つの販売店舗において、公証購買の方法で嫌疑品サンプルを購入し、対策を講じて販売者に工場の社印の捺印を要求した。そうすることによって、当該嫌疑品が工場によって生産されたことを証明した。最後に、さらに有利な証拠を獲得できるよう、訴訟を提起すると同時に被告に対して証拠保全を申請した。義烏法院は、工場は生産を担っているだけで、在庫を持っていないこと、弊所が既に店舗で嫌疑品サンプルの公証購買を行い、権利侵害の事実は証明されていること、そして3 つの場所を同時に証拠保全することが困難であることから、当方の証拠保全の申請は支持されなかった。当方の努力と数回のコンタクトを通して、裁判所はようやく被告工場と店舗に対して証拠保全を行った。工場及び2 つの販売店舗において、嫌疑品4 千余袋、8 万元相当が保全され、当方の証拠資料は確固たるものとなっていった。被告は和解の意向を示し、証拠保全の成功により、案件は有利な方向へ大きく傾いていった。
案件の結果
法院が仲裁する中、原告と被告は和解に達し、被告は侵害行為の実施を認め、公開謝罪を行い、原告の侵害による損失と合理的支出合計13.5 万元を賠償し、今後、いかなる侵害行為も行わないことを保証した。
経験のまとめ
本案件のキーポイントは侵害証拠の収集であった。工場から直接的に侵害証拠を取得できないため、店舗から入手するしかなかった。さらに、販売店舗で嫌疑品サンプルを購入すると共に工場の判子を押してもらうことによって工場の行為を証明する。その次に証拠保全の成功的な申請は賠償額の論争をサポートする有力な証拠となる。