圧力鍋意匠特許無効審判案
時間: 2014-03-20

背景

浙江愛仕達電器股分有限公司はZL201130186505.9号意匠権を持ち、浙江蘇泊爾股分有限公司が市場で販売する圧力鍋に対し、特許権利侵害訴訟を提起した。

浙江蘇泊爾股分有限公司の抗弁を成功させるため、クライアントは当所が早めに特許無効手続きに入り、権利侵害訴訟を中止できるように依頼した。

2012年4月28日、当所は浙江蘇泊爾股分有限公司の代理人になり、浙江愛仕達電器股分有限公司が持っているZL201130186505.9号意匠権に対し、無効請求を提出した。

案件処理過程とキーポイント

依頼人の指示が緊急で、特許権利侵害訴訟に関わるため、できるだけ早く特許無効受理通知を受領した後、法院に裁判中止の申請をしなければならない。当所は指示を受けたあと、先ず、経験が豊富な意匠権審査官に特許調査を依頼し、所員と本案に対し論議した。

本案件の特許出願日は2011年であるため、2009年で修正した特許法が適応される。つまり、意匠権は対比文献の組合で特許性を評価される。顧客が提供した対比文献と調査結果に基づき、当所はまず全体の外形、組み合わせ部分及び組み合わせ形状と本案の意匠権に一番近い意匠権を対比設計1とした。該当対比設計と本案の意匠権と対比するとき、その中の区別点を探した。その中には圧力弁の形状、鍋蓋外輪の台形の設計及び鍋蓋外輪の凹凸交差の設計を含めている。本案の意匠権の外見評価報告及びクライアントから提出された文献で減圧弁と鍋蓋外輪が近い対比設計2と3を探し出し、各々設計1の中の減圧弁と鍋外輪の台形設計及び鍋外輪凹凸交替設計を取替えることでわかったのは、圧力鍋の設計と本案の特許と比べ明確な区別がないことであった。そのため、本案の意匠権は『特許法』第23条第2項に違反しているため、無効を宣告されべきとした。

クライアントから関連の公開証拠を収集する際、ある程度時間が必要といわれたが、分析した結果、3篇の特許文献を対比文献として無効を請求することと、一ヶ月の補正期間内に、公開の証拠を補充意見として提出することにした。一方すぐに無効受理通知書を受取り、訴訟の中止を提出することで、補正証拠の収集に時間を稼いだ。

クライアントの許可を得て、当所は2013年4月28日、特許無効宣言請求の加速手続きで、受理通知書を受取り、クライアントに渡した。一ヶ月の証拠補正期間内にクライアントはwww.jd.comwww.taobao.comで「聚能星」圧力鍋が特許出願日前から販売された記録と関連製品の図案証拠を抑え、ウェブページの公証をし、対比設計4として準備した。そして、証拠5として、顧客が収集したディーラーの販売領収書を集め、「聚能星」圧力鍋の販売事実を証明した。また、一部分の大型スーパー、例えばカルフールの宣伝チラシにも「聚能星」製品の写真があった。チラシには宣伝した日時が書いてあり、本案の意匠権の出願日の前であることからこの証拠を対比設計6として利用した。

当所は以上の三つの公開証拠を使用し、対比設計4、または対比設計4と証拠5と組み合わせ、または対比設計6ひとつと本案の意匠権と比べ、本案の意匠権は『特許法』第23条1項の規定と合わないと証明した。さらに、各々に設計4と対比設計3を組み合わせ、または対比設計4、証拠5と設計3と組み合わせ、または設計6と3の対比設計と組み合わせ、この三種類の組み合わせ方法で、『特許法』第23条第2項の規定を使用することで特許性を評価した。

最終的に特許再審委員会は対比設計4と対比設計3の組み合わせ方式を採用し、本案の意匠権は顕著な区別がなく、全部の無効が宣告された。

案件処理のキーポイント

1.対比の設計組み合わせはヒントがあるかどうか
対比設計1の中、鍋蓋の上に圧力制限弁を設置されているが形状は本案の意匠権と違う。しかし、対比設計2の圧力制限弁の形状は本案件の意匠権と似ている。また、対比設計1は圧力制限弁を鍋蓋に設置するヒントを与えている。対比設計3の鍋蓋外輪は台形で、鍋外輪は凹凸交替の設計であり、対比設計3の鍋台形設計と凹凸がない設計を対比設計1の鍋の関連設計と切り替えた。このような状況で対比設計1と2と3組合の圧力鍋を得た。本案の意匠権と比べると全体の形状及び各部分と形状は基本的に同じであり、詳細な差別は全体の視覚効果は顕著な影響を与えない。そのため、二者は明確な区別がない。

2.公開証拠を使用した証明力
公開証拠を使用するとき、インタネット公証書で、いかに製品の販売時期を証明し、いかにインタネット販売の真実性を証明するのが焦点になる。先ず、公証書原本と複写本が一致し、ウェブページの内容は公証処の現場で直接確認され、形式上明らかな問題がないことだ。次は、www.jd.comは中国有名なインタネットショッピング業者であり、インタネットで発表された情報の管理体制が整っている。購入した商品に対しカスタマーレビューをすることで、サーバーが自動に生成され、発表された内容は修正と削除ができなくなる。無効過程中、当所はこの点に対し重点的に説明した。カスタマーレビューの発表時間は本案の意匠権より早く、図面も公開されている。
最後にこの証拠の対比設計が再審委員会に認められた。

3.無効手続きの運用
一般的に特許の無効申請をするとき、一ヶ月で受理通知を受取が本案は無効加速手続きで当日受理通知を受取ることができた。しかし、訴訟案件の挙証通知と伝票が必要のため、挙証通知期限内に無効手続きをする必要がある。

本案件で証拠収集が完全ではないとき、先に現在ある証拠で無効手続きを始め、一ヶ月期限内に証拠の補充と意見補正をした。これは時間を稼いで、受理通知を受取り、訴訟を中止することで、無効の成功率を高めることができた。

案件結果

本案は特許再審委員会で全部無効と宣告された。

案例のコメント

本案件は意匠権の分析及び証拠の十分な準備が勝訴のキーポイントとなった。意匠権評判の主観性を考え、特に新法対比文献の組み合わせの評価標準に対し、再審委員会の態度は慎重である。そのため、無効請求の請求側は比較的に有利な証拠を探し、証拠の中に組み合わせのヒントを明らかに提示することだ。

次に、公開証拠を運用し、ホームページを公証した。証拠の形式から見ると証拠の要求に合っている。しかし、証拠内容は案件に対する実質影響は大きい。本案でウェブページの公証はwww.jd.comとwww.taobao.comとクライアント自社のホームページで公開された情報である。証拠の有利な視点から見るとwww.jd.comは中国で比較的に有名なインタネットショッピング業者であり、カスタマレビューはwww.jd.comで統一に管理され、カスタマレビューの時間は自動に形成されるため、信頼度が高いことから再審委員会に認められた。鍋の型番は口頭審理でも説明をし、鍋の型番は固定で、同一の型番をもつ圧力鍋は対応する外見形状も唯一性を持つ。

案例意義と影響

本案は二つの点で以降の案件で参考になる。

その一、意匠権の中に一体構造部分設計特徴の置き換え
『審査指南』の特許法23条2項の組み合わせにヒントに関する規定がある。『以下何種類の組み合わせは組み合わせ手法のヒントが存在する。そのため、意匠権は現有設計または現有設計特徴組み合わせと比べ、明確な意匠権区別はない...(2)意匠権の設計特徴は同じまたは近い製品の設計特徴の原本または小さい変化で意匠権を獲得した場合。』
『審査指南』では以上の規定をしているが、再審委員会は意匠権置き換えの認定に一定的な評価基準を持っている。例えば部品の取替えは再審委員会は一般的に容易に受け入れる。組み合わせ手法はヒントがある。一体設計中の部分特徴の置き換えは組み合わせ手法のヒント認定は不確定性を持っている。

本案の成功は一体設計特徴の置き換えに組み合わせヒントの例証となる。

その二、公開データでの認定
本案ではウェブページで公証され、公開時期を証明したが、信頼ができるホームページが必要だ。一般的には表示される時期は変更することが難しいのが説得力がある。本案ではこの面でも説明してある。

 

 

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