商標権侵害事件における違法経営額の計算弁法(仮訳)
第1条 商標権侵害事件に対する厳格で規範化され、公正で文明的な法執行を推進し、事業体の正当な権利を保護し、公正に競争する市場環境を構築するために、『中華人民共和国商標法』、『中華人民共和国商標法実施条例』などの法律法規に基づき、本弁法を制定した。
第 2 条 本弁法は、商標行政執法部門が商標侵害事件の処理において、当事者の行為が商標侵害に当たると判断した場合に適用される。
第 3 条 違法経営額の計算は、合法性、合理性、客観性および公平性の原則に従わなければならない。
第 4 条 違法経営額とは、当事者が行った商標権侵害に係る被疑侵害品の価値総額または侵害による営業収入の総額をいう。
第 5 条 既に販売された被疑侵害品の価値は、実際の販売価格に基づいて計算する。
まだ販売されていない被疑侵害商品の価値は、特定された被疑侵害品の実際の平均販売価格に基づいて計算する。実際の平均販売価格が確認できない場合は、表示価格に基づいて計算する。
実際の販売価格が確認できない場合、または被疑侵害品に表示価格がない場合は、侵害が発生した期間中の被疑侵害製品の市場中間価格に基づいて計算する。
既に製造されたが、被疑侵害商標ロゴがまだ取り付けられていない商品については、当該商品が他人の登録商標専用権を侵害することを証明する決定的かつ十分な証拠がある場合、その価値は違法経営額に含めるべきである。
第 6 条 被疑侵害品の市場中間価格は、被侵害者が公表した同種類の製品の参考小売価格に基づいて確定する。参考小売価格が公表されていない場合は、次の方法に従って確定する。
(一)市場に同種類の被侵害製品の販売者が複数存在する場合、その中のいくつかの販売者の小売価格の平均をとって市場中間価格とする。販売者が1つしかない場合、当該販売者の小売価格を市場中間価格とする。
(二)市場に同種類の被侵害製品が販売されていない場合、以前市場で販売されていた同種類の被侵害製品の中間価格に基づいて確定する。または、機能、用途、主要材料、デザイン、構成などにおいて被疑侵害製品と同一または類似する、市場で販売されている同種類の被侵害品の市場中間価格に基づいて確定する。
前項の規定により市場中間価格が確定できない場合には、価格認定機関の認定により確定するができる。
当事者の声明及び商標権者が提供する被疑侵害品の市場中間価格は、他の関連証拠を検討し、それが真実であることを確認した後、参考として使用できる。
当事者は、被疑侵害品の中間価格の計算結果に異議がある場合には、それを証明する証拠を提出しなければならない。
第 7 条 材料付き加工受託事業活動において、登録商標の専用権を侵害する商品が使用された場合、違法経営額は被疑侵害品の実売価格に基づいて計算する。被疑侵害品が独立して価格設定されていない場合、材料付き加工受託事業活動ににおけるその価値の割合に基づいて計算する。価値の割合が区別できない場合、違法経営額は被疑侵害品の市場中間価格に基づいて計算する。
第 8 条 無償で贈与された商品が他人の登録商標専用権を侵害する場合、違法経営額は、実際の贈与品の購入価格または製造原価に基づいて計算する。贈答品の実際の購入価格や製造原価が確定できない場合、または贈答品が規格外の商品である場合、違法経営額は表示価格または被疑侵害品の市場中間価格に基づいて計算する。
第 9 条 リニューアル商品が他人の登録商標専用権を侵害する場合、違法経営額は、被疑侵害品の価値総額に基づいて計算する。リニューアル商品自体は他人の登録商標専用権を侵害しておらず、その部品または付属品のみが他人の登録商標専用権を侵害している場合、違法経営額は、侵害している部品または付属品の価値に基づいて計算する 。
第 10 条 商標法第 57 条第 4 項に規定の侵害行為に該当する場合、違法経営額は、被疑侵害標章の実際の販売価格に基づいて計算する。
第 11 条 誰かが意図的に他人の登録商標専用権を侵害するための便宜を提供した場合、違法経営額は、侵害の幇助による収入に基づいて計算する。収入がない場合、違法経営額がないとみなす。
第 12 条 レンタル商品が他人の登録商標専用権を侵害する場合、違法経営額はレンタル収入に基づいて計算する。
第 13 条 広告宣伝において他人の登録商標専用権を侵害したが、被疑侵害商品を確認できない場合は、違法経営額がないとみなす。
第 14 条 商標ライセンサーとライセンシーが共同して他人の登録商標専用権を侵害した場合、違法経営額は本弁法第 5 条及び第 6 条の規定に従って計算する。
第15条 前項の規定により実際の違法経営額が調査・証明できない場合は、違法経営額がないとみなす。違法経営額の一部のみが確認できた場合には、確認された違法経営額により計算する。
第 16 条 当事者が十分な証拠を提出して証明された、「サクラ行為」など虚偽の販売手法によって増加した被疑侵害品の販売額は、違法経営額に算入しない。
第17条 行政と刑事の融合で検察機関から行政機関へ移送された事件において、違法経営額に関する行政機関と公安機関の認定が一致しない場合、行政機関の調査結果に基づいて、本弁法の規定に従って認定することができる。
第 18 条 本弁法は、国家知識産権局および国家市場監督管理総局によって解釈する。
第 19 条 本弁法は、公布日から施行する。