第31806751号「泰诺健」商標無効審判事件から見る悪意出願の法律適用
時間: 2023-12-22 李麗芳 アクセス数:

事件の概要

 

無効審判請求人であるTECHNOGYM S.P.A.社(以下は請求人という)は、イタリアの知名なジム用具のメーカーであり、1983年に設立された。TECHNOGYMは請求人の商号、商標であり、中国語「泰诺健」はその商号・商標の中国語訳であり、使用に経って、「泰诺健」と「TECHNOGYM」は唯一の対応関係になった。

被請求人である「浙江绿智文化创意有限公司」(以下は被請求人という)は第43類「レストラン」など役務で第31806751号「泰诺健」商標(以下、争議商標という)出願した。2020年9月7日に争議商標は登録された。請求人は2021年11月12日に争議商標に対して無効審判を請求した。

 

国家知識産権局は無効審判の審決において以下のように認定した。

被請求人が多数の区分において、他人の知名商標を模倣、剽窃する80件あまりの商標を出願した。被請求人は当該状況に対して、合理的な説明をせず、答弁しなかった。被請求人の行為は一般的な経営の需要を超え、商標出願の合理性及び正当性を備えず、他人の合法権利を損ない、商標秩序を乱した。従って、争議商標の登録は商標法第44条第一項に規定されている「その他の不正な手段で登録を得た」情状に該当する。

 

商標法第44条第一項、第三項、第45条第一項および第46条に基づき、国家知識産権局は、第31806751号商標を無効宣告するとの審決を出した。

 

康信コメント

 

本件では、第44条第一項の「商標は不正な手段で登録を得た」理由は認められた。請求人が商標法第30条に基づいて、第35、41、42類における先行商標を引用し、争議商標はその先行商標とは類似商品における類似商標に該当することも主張したが、国家知識産権局が争議商標の指定商品と先行商標のとは類似しないと考え、当該主張を認めなかった。

当該結論によると、争議商標の指定商品と先行商標のとは、明らかな差異がある場合、相手の悪意の証拠の収集に重点をおくべきである。相手の悪意の証拠について、「商標審査審理ガイド」に第4条「使用を目的としない悪意のある商標登録出願」に該当する行為に関する証拠を参照できる。


注:「商標審査審理ガイド」第二章 使用を目的としない悪意のある商標登録出願の審査及び審理の5

次に掲げる行為は、「商標法」第四条にいう「使用を目的としない悪意のある商標登録出願」行為に該当する。ただし、当事者がこれに反する証拠を提示した場合を除く。

(1)商標登録出願数が巨大で、明らかに正常な経営活動に係る必要性を超過し、真実の使用意思に欠け、商標登録の秩序を乱すもの。

(2)多数の主体の一定の知名度又は比較的強い顕著性がある先行商標を大量に複製、模倣、剽窃し、商標登録の秩序を乱すもの。

(3)同一主体の一定の知名度又は比較的強い顕著性がある特定の商標について、繰り返し登録出願をし、商標登録の秩序を乱すもの。このような繰り返しの登録出願行為が、「商標法」のその他の条項によって規制される悪意のある登録に該当する場合、その他の条項を適用する。

(4)他社の商号、企業名称の略称、電子商取引運営者の名称、ドメイン名、一定の影響力のある商品の名称、包装、装飾、他人の知名かつ識別力を獲得している広告のスローガン、デザインなどの商業標章と同一又は類似の標章を大量に登録出願するもの。

(5)著名人の氏名、著名作品又は役柄の名称、他人の知名かつ識別力を獲得している美術作品などの公共文化資源と同一又は類似の標章を大量に登録出願するもの。

(6)行政区画の名称、山河の名称、観光地の名称、建築物の名称などと同一又は類似の標章を大量に登録出願するもの。

(7)指定商品又は役務における一般名称、業界用語、商品又は役務の品質、主要な原料、機能、用途、重量、数量などを直接的に表示する、顕著性に乏しい標章を大量に登録出願するもの。

(8)大量に商標登録出願をし、大量に商標を譲渡し、かつ、譲受人が比較的分散しており、商標登録の秩序を乱すもの。

(9)出願人について、不正な利益の獲得を目的として大量に販売し、商標の先使用者又は他人に事業連携の強要、高額の譲渡費用、使用許諾料又は権利侵害に対する賠償金などを請求する行為があるもの。

(10)その他悪意のある商標登録出願行為があると認定できるもの。


返回顶部图标