中国での防衛商標、備蓄商標の出願に関する留意点
時間: 2022-12-30 劉璐璐 アクセス数:

2019年改正の中国商標法第4条には、使用を目的としない悪意のある商標登録出願を拒絶するという規定が増設されました。

 

2022年1月1日から施行される『商標審査審理ガイドライン』は、「使用を目的としない」商標登録出願について、「出願人は商標登録出願をするとき、商標を実際に使用する目的がなければ、商標を使用しようとする行為もない、又は合理的な推定により、商標を実際に使用する可能性がないこと」と解釈しました。

 

『商標審査審理ガイドライン』によると、商標法第4条の立法意図は、「使用を目的としない」悪意のある出願、大量登録などの行為を規制し、登録出願人の使用義務を強化することにあります。防衛商標または備蓄商標の出願は、悪意のある出願に該当しませんが、使用の義務を履行することは難しいため、防衛商標と備蓄商標の出願は一定の数量を超えた場合、商標法第4条を適用し拒絶された場合でも、その立法意図に違背していません。

 

最近、企業の大量の防衛商標、備蓄商標の出願が商標法第4条の規定への違反に基づいて拒絶されたというニュースが続々出ています。中国で防衛商標または備蓄商標を出願する時に、商標法第4条に基づく拒絶のリスクを回避するために、どのようにすればよいでしょうか。

 

一、出願数量が合理的な限度を超えない

 

『商標審査審理ガイドライン』によると、以下の場合には、商標法第4条を適用しません。

 (1) 出願人が防衛目的で、登録した商標標章と同一又は類似の商標を出願する場合。

 (2) 現実的に見込まれる将来の業務のために、予め適量の商標登録出願をする場合。

 

商標局は防衛商標、備蓄商標の出願の合理性を認めていますが、合理的な需要と数量を超える出願が、過剰防衛、過剰備蓄と認定される可能性はあります。現在の商標局のプラクティスとして、出願人が全ての区分において防衛商標または備蓄商標を出願した場合、使用を目的としない商標登録出願と認定される可能性はあります。

 

二、商標出願の総量を管理

 

プラクティス上、商標局は商標出願が商標法第4条違反に該当するかどうかを判断する際、通常、その出願人がすでに出願した商標の総量も考慮します。そのため、重複出願を避けるべきであり、明確に使用しない登録商標については、自発的に登録放棄手続きを行うことが考えられます。

 

三、積極的に審査意見書を応答

商標局の審査において、商標法第4条に違反した疑いのある商標出願に対し、直接拒絶査定通知書を発行して拒絶するのではなく、審査意見書を出して出願人に状況説明の機会を与えるのが一般的です。審査意見書を受けた場合、積極的に応答することは重要です。

 

防衛商標について、主要商標の使用証拠と知名度に関する証拠、冒認商標の情報、商標権の権利行使の記録等の証拠を提出し、防衛商標と主要商標との関連性、及び防衛商標の出願の必要性を説明することができます。

 

備蓄商標について、通常まだ使用されていないため、関連する企画、使用準備に関する証拠、関連経営に従事するために必要な資質証明書、関連経営に従事することと一致する生産経営規模、財務状況、技術レベル、管理能力などの条件を証明する証拠を提出し、これにより真実な使用意図があることを説明し、関連経営の実際の展開に準備していること、関連経営に従事する能力と条件があることを説明することができます。

 

総じていえば、合理的な需要と数量を超える出願が、使用を目的としない商標登録出願と認定される可能性はあります。商標法第4条に基づく拒絶のリスクを回避するため、出願人は自分の実際の需要から防衛商標と備蓄商標を出願し、且つその数量が合理的な限度を超えないことにご留意ください。


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