『第35類役務商標の登録出願と使用に関する指導』の発行
時間: 2022-12-30 武亜莉 アクセス数:

関連市場主体に「類似商品と役務区分表」の第35類役務をよく理解させるために、国家知識産権局は2022年12月7日に『第35類役務商標の登録出願と使用に関する指導』を発行した。

 

『第35類役務商標の登録出願と使用に関する指導』の内容は、下記の通りです。

 

一、第35類役務の特徴

 第35類役務は主に商業及び工業企業の業務管理、運営、企画と行政管理及び広告、
マーケティングと販売促進などの内容を含め、その目的は他人のために関連商業経営又は管理、業務活動又は商業管理などのサービスを提供することにある。

 

よって、第35類役務の一番重要な特徴は、権利者自身業務のためではなく、他人のために関連サービスを提供することにある。

 

二、第35類役務についての正しい理解

一般的には、商品の生産・販売を行う企業は、自分の商品のみ生産・販売し、他主体又は個人のために広告や商業管理を行わない場合、第35類において商標出願を行う必要がない。

 

第35類の各役務について、下記のように紹介する。

 

1、広告に関する役務

当該役務とは、他人の商品やサービスのために広告行為・広告制作又は広告企画などのサービスを提供することを指す。自分の商品やサービスのために自分が行った広告又は他人に依頼した広告行為などを含めない。

当該役務の提供者は、他人のために広告企画、デザイン、作成、配布、放送などのサービスを提供する主体である。

 

2、商業管理指導に関する役務

当該役務とは、他人のために他企業の経営管理に対して関連指導を提供することを指す。自分の経営活動又は企業管理の強化のために行った日常企業管理、商業分析、研究、調査などを含めない。

当該役務の提供者は、他人のために商業コンサルティング、研究、管理などのサービスを提供する主体である。

 

3、フランチャイズに関する事業管理に関する役務

当該役務とは、他人のフランチャイズ行為に対して商業管理などのサービスの提供を指し、フランチャイズ行為自身を含めない。「フランチャイズ」とは、登録商標・企業ロゴ・特許・専有技術などの経営資格を有する企業は、契約の形でその保有する経営資格を他人に使用許諾し、被許諾者は契約のルールに基づいて経営を行うとともに、許諾者へ関連費用を支払うという経営活動を指し、「フランチャイズに関する事業管理」とは、他人の前述のフランチャイズに対するコンサルティング、調査などのサービスを提供し、他人の経営活動のために商業管理指導を提供することを指す。

当該役務の提供者は、他人のフランチャイズに対して商業コンサルティング、調査、管理などのサービスを提供する主体である。

 

4、輸出入に関する事務の代理又は代行

当該役務とは、関連主体が他人の商品の輸出入貿易に対して専門代理又は代行サービスの提供を指し、自分商品の売買や自分商品の輸出入業務の実行を含めない。

当該役務の提供者は、他人のために輸出入に関する事務を行う主体である。

 

5、他人のための販売促進

当該役務とは、他人の商品やサービスの販売量又はニーズの増加のために、具体的なアドバイス、企画、コンサルティングなどのサービスの提供を指す。自分の商品又はサービスの小売又は卸売や、他人商品又はサービスの販売で値幅の獲得を含めない。即ち、ただの商品販売行為は「他人のための販売促進の対象外となる。

当該役務の提供者は、オンライン又は現地で他人の商品又はサービスの販売促進のために、対応する具体的なサービスを提供する主体である。

他人のブランドの製品の販売で差額を稼ぐための経営活動は、小売の範囲内で、他人のための促進との役務に該当しない。

 

6、商品・役務の買い手及び売り手のためのオンライン市場の提供

当該役務とは、関連主体が買い手及び売り手のためにオンラインプラットフォームを提供し、当該プラットフォームにおいて売り手の商品とサービスが市場となり、買い手がプラットフォームで商品を購入できるとのことを指す。オンライン店舗での商品販売を含めない。

当該役務の提供者は、買い手及び売り手のためにオンラインプラットフォームを提供するEコマースである。

 

7、人事に関する役務

当該役務とは、他人のために、人事管理、求人などのサービスの提供を指し、企業内の人事管理や求人などの行為を含めない。

当該役務の提供者は、他人のために、求人、人事管理などのサービスを提供する主体である。

 

8、事務に関する役務

当該役務とは、他人のために、コピー、書類管理、速記などの事務サービスを提供することを指し、企業自身業務のための書類管理や印刷、コピーなどの行為を含めない。

当該役務の提供者は、他人のために、コピー、速記、秘書などのサービスを提供する主体である。

 

9、経理に関する役務

当該役務とは、他人のために経理に関するサービスを提供することを指し、企業自身が行った、又は他人に依頼した税務企画やビジネス監督などを含めない。

当該役務の提供者は、他人のために、経理やビジネス監督などのサービスを提供する主体である。

 

10、スポンサー探しに関する役務

当該役務とは、他人のためのスポンサー探しを指し、自分の商業活動のためのスポンサー探しや、他人へのスポンサーを含めない。

当該役務の提供者は、他人のために、スポンサー探しなどのサービスを提供する主体である。

 

11、薬品、医療用品の小売又は卸売に関する役務

当該役務とは、特別な資格を獲得してから小売又は卸売が可能となる薬品、薬剤、衛生製品、医療用品、動物用薬品、獣医科用剤などの商品を集中、分類(郵送を含めない)することを指す。即ち、この役務は、主に上記特殊な商品の市場進出のためのサービスを指し、具体的な商品を含めない。

当該役務の提供者は、医療用品の小売サービスを提供する主体である。

 

三、第35類役務の正しい使用

登録商標の権利範囲は、許可された商標と査定使用商品を制限とする。なお、権利者は登録商標の規範使用をするべきである。

 

(一)登録済み商標の規範使用

第35類役務の主な目的と特徴は、他人のために関連サービスを提供することであるため、第35類役務の商標を使用する際に、第35類役務の意味や範囲を正しく理解し、許可された範囲で使用する必要がある。

 

例えば、自分が生産した商品を販売するために、店舗において商標を使用するのは、「他人のための販売促進」という役務に該当しない。よって、「他人のための販売促進」を取得したとしても、他主体が自分商品又は役務における登録商標に基づいて上記行為に対して権利行使する場合、他人商標権への権利侵害又は不正競争になると判断される恐れがある。

 

(二)使用証拠の保留

中国において、連続三年間不使用取消制度があるため、いかなる主体又は個人は、連続三年間不使用との理由で取消審判を請求される可能性がある。

商品と比べて、役務が無形なので、その使用証拠の保留が難しいである。中国の法律及び関連規定により、権利者は商標の使用証拠を収集・提供する際に、下記の点を考慮することをお進める。

1、契約においてサービス内容を明確し、商標の標識、出願番号、具体的な役務名称とサービス内容を記載する。

2、契約に対応する領収書、支払い証拠、検収書などを発行する。即ち、契約と領収書、支払い証拠、検収書に記載された商標、商品、金額、サービス内容、時間などは一致すべきである。

3、ラジオ、テレビ、新聞、雑誌などの媒体及び電子媒体、ネットを通じて行われた宣伝の証拠

4、サービス場所、例えば、店頭、看板、内部装飾、パンフレット、スタッフの被服、メニュー、事務用品及びそのほかの関連用品などにおいて商標を明記する。上記用品のデザインや作成を他社に依頼する場合、関連契約と領収書において商標を記載する。

5、同一区分において複数の商標を有し、且つ、それぞれの顕著な部分が違う場合、各商標を分けて使用し、それぞれの使用証拠を保留すべきである。

6、商標と商号が同じな場合、商標として使用する際に商標マークをつける。

7、不可抗力、政策制限、倒産などの原因で使用できない場合、関連抗弁証拠を保留する。

 

(三)権利の適当保護と合理的な行使

権利の保護と使用は、誠実信用及び濫用禁止の原則を守るべきで、商標権利者の権利濫用や過度保護、関連当事者の過度使用を回避すべきである。

1、関連市場主体がサービスを提供する際に、通常、その経営活動自身が「商業性」と「管理性」が付いている。関連第35類役務の商標権利者は、他主体の経営活動が前述特性を有するため、自分の商標権を侵害するとの理由で他人の正当的な使用を禁止できない。

2、他主体は、経営活動において商標を使用する際に、使用方法と範囲を注意すべきで、正当な範囲を超こないように使用すべきである。

 

<弊所コメント>

  今回の指導の発行は、第35類役務の意味合いや範囲を更に明確し、第35類の出願要否の判断、役務の使用証拠の保留、使用範囲と権利保護に役に立つ。具体的には、下記の通りである。

 

第35類の出願要否の判断について、

一般企業の経営において、広告、商業管理、人事管理、会計などの活動が必要で、よって、たくさんの人は第35類役務において出願する必要があるかについて迷っている。

今回の指導により、第35類役務の一番重要な特徴は、権利者自身業務のためではなく、他人のために関連サービスを提供することにある。特に、自分の商品の生産・販売は第35類に該当しないと明確した。

よって、自分の商品のみ生産・販売し、他主体又は個人のために広告や商業管理を行わない場合、使用の面から見れば、第35類において商標出願を行う必要がない。

 

第35類役務の使用証拠の保留

以前、関連規定において、使用証拠の種類のみを規定され、例えば、看板、内装、契約、展示会など。

今回の指導において、使用証拠の注意点について更に詳しく紹介された。例えば、契約における役務や商標などの明記、契約と対応する領収書などの文書の保留、サービス場所にける商標の統一使用及び関連依頼契約や領収書の保留、複数商標の使い分け、商号と商標が同じである場合の使い分けなど。

役務の商標権利者にとって、役務商標の使用証拠の保留について更に明確し、役務の使用証拠の保留に有利である。

 

第35類役務の使用証拠の正しい使用

今回の指導により、第35類役務の意味合いと範囲を更に明確し、関連役務商標権利者の正しい使用と権利保護に有利である。

  今回の指導の発行は、第35類役務の意味合いや範囲を更に明確し、第35類出願の要否判断、使用証拠の保留、使用範囲と権利保護の確定に役に立つため、関連経営者は、第35役務の特徴と意味合いをきちんと把握でき、今後の商標使用と権利保護に有利である。

 

 

 


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