「Culturelle」商標異議申立案について
異議申立人は、当所に51306215商標(以下、被異議商標)に対して異議を申し立てることを依頼した。国家知識産権局が審理後、「被異議商標の登録を許可しない」という決定を下した。
本件経緯
「Culturelle」は、世界で人気のあるプロバイオティクスのブランドであり、DSM IP ASSETS B.Vが当該ブランドの所有者である。当該ブランドの異なるシリーズのプロバイオティクス製品は、消費者に高く評価され、賞賛されており、我国の関連公衆の間で一定の知名度を有する。第51306215号の被異議商標「Culturelle」は、明らかに異議申立人商標を盗作したものであり、両者の共存が消費者の混乱と誤認を招きやすい。このような状況で、異議申立人は、当該商標に対する異議申立を当所に依頼した。
被異議商標と引用商標の情報は下表の通りである。
案件処理
2021年8月20日、当所が商標異議申立書を提出し、下記のように異議申立の理由を述べた。
1.被異議商標と引用商標とは、類似商標における類似商標になっているので、「商標法」第30条の規定に違反した。したがって、その登録を許可しないべきである。
2.被異議商標の出願と登録は、商標の品質又は生産地などの特徴に対する関連公衆の誤認を招きやすいため、「商標法」第10条第1項第7号の規定に違反し、登録を許可しないべきである。
3.被異議申立人は不正な手段で被異議商標を出願し、その出願と使用行為は信義誠実の原則、「商標法」第4条、第7条、第44条第1項の規定に違反したため、登録を許可しないべきである。
本件ポイント
被異議商標がの指定商品と引用商標の指定商品はそれぞれ異なる類別であり、「類似商品とサービス区分表」により、二者の商品が類似商品にならない。但し、被異議商標は、異議申立人の引用商標と同一の商標であり、又は引用商標の英語文字と完全に同じであるため、明らかに異議申立人のブランドを盗作したものである。したがって、本件のポイントは、被異議人が異議申立人の商標を盗作、コピーしたことを証明することにある。
これについて、代理人は、下記の3点から分析・論述した。
1.異議申立人の引用商標は高い顕著性と独創性があり、大量の使用と宣伝により、中国の関連公衆の間で一定の知名度を取得した。したがって、引用商標と同一又は類似する如何なる商標でも偶然でない。また、異議申立人の引用商標である「Culturelle」は英語の固定語彙ではなく、特に意味のない独創的な語彙である。よって、その引用商標は高い顕著性と独創性を有する。また、引用商標の登録日が被異議商標の出願日より遥かに早い。更に、異議申立人が提出した大量の使用と宣伝証拠により、引用商標が被異議商標の出願日前に、既に関連公衆の間で一定の知名度を取得したことを証明できる。総じていえば、引用商標と同一又は類似する如何なる商標でも偶然でない。まして被異議商標が、異議申立人の引用商標と完全に同じ、又は引用商標の文字部分と完全に同じであることはいうまでもない。
2.被異議商標以外に、被異議申立人は異議申立人のその他の商標も抜け駆け登録した。調査によると、被異議申立人は、被異議商標以外に、異議申立人の引用商標「Culturelle」に対応する中国語商標の「康萃乐」及びそのシリーズの複数の商標も登録した。これは絶対に偶然ではない。
3.本件において、代理人が異議申立人のブランド「Culturelle」に関わる先行異議申立案を複数挙げた。これらの先行案件において、国家知識産権局は、「Culturelle」が高い独創性と顕著性があることを認めた。
上記の理由に基づいて、国家知識産権局は下記のように認定した。本件被異議商標以外に、被異議申立人は異議申立人の商標と同一又は類似するその他の商標(「康萃乐」「康萃乐CULTURELLE」など)も複数登録したので、絶対に偶然ではない。また、被異議申立人は、上記の行為及び商標デザインの出所について合理的な解釈をしなかった。したがって、被異議申立人が明らかに異議申立人の商標を故意的に盗作した。その行為は正常な商標登録管理秩序を乱し、「商標法」における詐称又はその他の不正な手段で商標を取得してはならないという立法趣旨に違反した。
本件結果
2022年6月24日、国家知識財産権局は「被異議商標の登録を許可しない」という決定を下した。