「商標審査審理指南」のポイントに関わるQ&A
時間: 2022-02-28 アクセス数:

社会公衆と商標業務従業者に「商標審査審理指南」(以下、「指南」と略称する)をよりよく理解させれるために、国家知識産権局商標局は「指南」における重要な課題をQ&Aにまとめた。

 

「指南」下篇第二章は「使用を目的としない悪意による商標登録出願」の審査に関わっており、四回目の「商標法」改正に伴い、新たに追加された内容である。下記、関連質問に対して、回答する。


Q1.「使用を目的としない悪意による商標登録出願」の審査審理基準を追加した背景は?


A1:党中央、国務院の決策と配置を徹底して実行し、経済社会の発展に適応し、知的財産権保護を強化し、ビジネス環境を更に最適化し、商標登録実践で発生した課題を解決し、更に効果的に悪意による商標登録出願を抑制するために、2019年4月3日に、第13回全国人民代表大会常務委員会は「商標法」を改正することを決定した。その中、第4条第1項に「使用を目的としない悪意による商標登録出願について、却下すべきである」という規定を追加した。

 

また、「商標法」の四回目の改正を実行し、商標出願及び登録行為を規範化するために、2019年10月に、国家市場監督管理総局は「商標出願・登録行為の規範化に関わる若干の規定」(国家市場監督管理総局令第17号)を制定・発表した。その中、商標が「使用を目的としない悪意による商標登録出願」に該当するか否か判断する際の考慮すべき要素を詳しく規定した。

 

「商標法」の改正改善に適応し、使用を目的としない悪意による商標登録出願を打撃するために、商標局は新「商標法」が実施されてから2年間の審査・審理実践経験をまとめ、公衆意見を募集した上、本章を制定し、「使用を目的としない悪意による商標登録出願」の審理審査基準を明確にした。


Q2.本章を起草した際の考えは?


A2:本章を起草した際に、下記の考えに従った。

①指導性と合理性を向上させるために、「商標法」の最新の改正内容と一致にするために、「使用を目的としない悪意による商標登録出願」の定義解釈、適用の要件、考慮要素及び適応の状況を明確にし、更に典型的事例も記入した。、

②基準適用の一致性と個別案件原則の有機的な統一を実現するために、商標審査、異議申立、評審などの審査審理実践を統一し、審査及び審理の各段階で適用する際に考慮すべき要素を明確にした。

③商標審査審理の実践経験をまとめ、商標登録審査審理の最新成果を反映、統合、確認及び発展する。


Q3.「使用を目的としない悪意による商標登録出願」と、「傍名牌」(商標権の不正利用)及び「蹭热点」(話題に便乗する)などの悪意による商標登録行為との相違点は?また、如何に「使用を目的としない」と「悪意」を判断するか?


A3:我国「商標法」法律条文に「悪意」の定義はない。悪意による商標登録行為の打撃に関わる規定は、「商標法」第4条、第7条、第15条、第19条、、第3条、第44条などの複数の条項に散らかされている。一般的に、悪意による商標登録行為がその侵害した権利により分けられ、主に次の2種類がある。①悪意により商標を抜け駆け登録する行為。即ち、「傍名牌」、「蹭热点」、及び有名人の姓名を抜け駆け登録するなど、他人の名誉、民事権利又は合法的権益を損害、又はそれに取り入ることを主な特徴とする商標登録出願行為。②「使用を目的としない悪意による商標登録出願」行為。即ち、「一括で大量を出願」「不法で資源を占用」など、商標登録と管理秩序を混乱させることを主な特徴とする商標登録出願行為。


上記2種類の悪意による商標登録行為は相違点があるが、関連性もある。「指南」には、「商標法」第4条第1項の「使用を目的としない悪意による商標登録出願」が「出願人が生産経営の需要により大量の商標を出願することではなく、真実な使用意図が欠如し、不正により商標資源を占用し、商標登録秩序を混乱させる行為」を指すことは明確に記載された。「使用を目的としない悪意」の「悪意」は、使用を目的としなく、大量の商標を出願することにより利益を獲得する意図を指し、「悪意による抜け駆け登録」の「悪意」とは異なる。「傍名牌」「蹭热点」などの悪意による商標を抜け駆け登録行為が特定の主体の民事利益のみを侵害し、公共利益を損害しない場合、相対理由条項を適用して規制すべきであり、「使用を目的としない悪意による商標登録出願」の規制に該当しない。勿論、悪意により抜け駆け登録した商標の件数が多く、不正により商標資源を占用し、商標登録秩序を混乱させる場合、「商標法」第4条第1項も併せて適用して規制すべきである。


「使用を目的としない」商標登録行為とは、出願人が商標登録を出願する際に、商標を実際に使用する目的もなく、使用を準備する行為もない、若しくは合理的な推測・判断では、商標を実際に使用する可能性がないことを指す。「商標法」第4条の立法目的としては、不正により商標資源を占用し、商標登録秩序を混乱させ、商標を買いだめすなどの悪意による出願行為を抑制することである。その中、使用を目的としなく、大量の商標を出願することにより利益を獲得する意図は、本条項が規制している使用を目的としない「悪意」に該当する。


Q4.商標登録出願の際に使用証拠の提出が必要か?本章で列挙された「商標法」第4条に該当しない2つの例外状況をどのように理解するか?


A4:「商標法」の関連規定により、我国の商標専用権について、登録取得を原則とし、使用を前提としない。したがって、一般的に、商標登録出願を提出する際に、商標使用証拠の提出、若しくは使用意図の説明は必要ではない。


「商標法」第4条第1項の立法趣旨としては、「使用を目的としない」悪意による商標出願、出願により商標を買いだめすなどの行為を抑制し、登録出願人の使用義務を強化することである。「指南」には、「出願人が防衛の目的でその登録商標の標識と同一又は類似する商標を出願する場合」と「出願人が現実的に予測できる未来の業務のために、予め適度な商標を出願する場合」の2つの状況は「商標法」第4条に該当しないことは明確に記載された。「防衛の目的でその登録商標の標識と同一又は類似する商標を出願する場合」とは、商標出願人がその主要業務及びコアブランドにおける信用・名誉を便乗又は損害することを防止するために、その主要業務以外の商品又はサービスでそのコアブランドと同一又は類似する商標を出願することを指す。「現実的に予測できる未来の業務のために、予め適度な商標を出願する場合」について、実際のビジネス活動において、関連商品又はサービスの営業企画から実際の宣伝、販売までは一定の時間差が存在するため、一部の市場主体は可能な商標抜け駆け登録を防止し、先行権利を侵害するリスクを回避するよう、予め商標を出願する必要がある。よって、出願人が適度な関連商標を出願することを許可する。


ここで、特に注意すべきことは、「指南」に上記2つの行為をある程度に認められたが、その認めには限度があり、何れの状況にしても、商標出願の件数が適度でなければならない。合理的で必要な件数を超えた大量の出願をし、真実な使用意図がなく、過度な防衛又は備蓄する行為は、利益の獲得を目的としないとしても、大量の商標と行政資源を占用したため、同様に商標登録秩序を混乱させる行為に該当する。したがって、このような行為も同様に「使用を目的としない悪意による商標登録」に該当すると認定することができる。


Q5.「使用を目的としない悪意による商標登録」に該当する状況は?ある状況が主に異議申立と評審の手続きに適用すると規定したのは何故?

 

A5:「指南」に、下記の10の状況が「使用を目的としない悪意による商標登録」に該当することは明確に記載されている。

1)商標登録出願の件数が膨大であり、明らかに正常な営業活動の需要を超え、真実な使用意図が欠如し、商標登録秩序を混乱させた場合。

2)複数の主体の一定の知名度又は高い顕著性のある先行商標を多く複製、模倣、コピーし、商標登録秩序を混乱させた場合。

3)同一の主体の一定の知名度又は又は高い顕著性のある特定の先行商標を繰り返して出願し、商標登録秩序を混乱させた場合。

4)他人の商号、企業名称・略称、ECサイトでの名称、ドメインネーム、又は一定の影響力のある商品名称、包装、装飾、他人の知名且つ識別性があるスローガン、意匠設計などの商業標識と同一又は類似する標識を大量に出願した場合。

5)有名人の姓名、知名の作品又は役割の名称、他人の知名且つ識別性のある美術作品などの公共文化資源と同一又は類似する標識を大量に出願した場合。

6)行政区画の名称、山川の名称、観光地の名称、建築物の名称などと同一又は類似する標識を大量に出願した場合、

7)特定の商品又はサービスの一般名、業界用語、商品又はサービスの品質、主な原材料、機能、用途、重さ、数量などの顕著性が欠如する標識を大量に出願した場合。

8)大量の商標登録出願を提出し、また大量の商標を譲渡し、しかも、譲受人がそれぞれ関係がなく、商標登録秩序を混乱させた場合。

9)出願人は不正な利益の獲得を目的として、大量に売却し、商標の先行使用者又は他人にビジネス協力、或は高額の譲渡費用、ライセンス料、商標権損害賠償金を求める行為がある場合。

10)その他、悪意による商標登録出願行為であると認定できる状況。

 

上記の「件数が膨大」「大量」について、出願人状況、出願された商標の状況などの要素を総合的に考慮して判断する必要がある。

 

上記3)に記載の繰り返して出願する行為が、「商標法」のその他の条項に規定された悪意による登録出願に該当する場合、その他の条項を適用すべきである。また、それ以外の状況が同時に「商標法」のその他の条項にも違反した場合、その他の状況も併せて適用すべきである。


「指南」には、3)、9)の状況が主に商標異議申立と評審手続きに適用することが規定されている。その主な考慮要素としては、①3)、9)の2つの状況が案件における実際の証拠とを結び付て判断する必要があるが、商標登録審査は商標登録出願書類に基づいて積極的で一方的な行為であり、挙証、証拠に対する尋問がない。一方、異議申立と評審手続きにおいて、被請求者に十分な抗弁機会を与えると同時に、当事者の利益を保証する。②「主に商標異議申立と評審手続きに適用する」とは言え、審査段階で上記2つの状況に適用することを完全に排除したことではない。商標登録審査の段階において、審査で発見した案件の手掛りにより総合的に考慮することもできる。


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