競合他社の特許分析について
時間: 2020-07-31 アクセス数:

競合他社分析は、特定な目的と需要により、競合他社情報を調査・分析することであり、競争情報分析の重要な一環である。競合他社情報とは、自社と市場競争関係、又は潜在的な市場競争関係であるその他の企業の情報である。例えば、企業の規模、製品の構成、製品の特徴、経済的実力、製品戦略、競争戦略など。1要するに、競合他社に係わる如何なる情報でも分析の範囲に含まれることができる。


特許分析の方法にから見れば、競合他社情報は特許情報と非特許情報の二つの種類を分けることができる。特許情報は、全て又は一部の特許に開示された情報、及び関連の特許活動情報が含まれる。これは分析の主体である。非特許情報は、企業の基本情報、主な取扱業務、コア技術と製品、財務状況等が含まれる。これは特許情報に対する補足である。特許情報と非特許情報とは、互いに補完、検証し合いながら、全面的で、精確な分析結論を得る。


一、  競合他社の特許情報分析

競合他社の特許情報は、主に同社が出願した特許を媒体とする関連情報であるが、同社が行った特許活動に係わる情報も含まれる。データを収集する際に、出願人の異なる名称の表現、及び会社との従属関係を考慮すべきである。


通常、競合他社の特許分析は定量分析と定性分析の二つの種類がある。2定量分析は、主に特許の各指標の数量特徴、数量関係及び数量の変化に対する統計分析である。定性分析は、主に特許文献に係わる技術に対する分析である。分析方法としては、技術係数分析、技術効果マドリット分析、技術的角度分析、技術マップ分析、特許請求の範囲及びその関係分析、フィッシュボーン技術分析などがある。3定量分析により、全体的に(マクロ)競合他社情報を把握することができるので、定性分析の際に、分析目標と分析対象を精確に確定すること(マイクロ)ができる。したがって、実際の調査作業において、一般的に、マクロからマイクロへという手順で、定量分析を完成してから定性分析を行う。


1.特許件数分析

特許件数分析とは、特許の出願件数を統計し、特許種類、出願日、公開国、登録状態などの視点から特許件数を解読することである。


通常、特許出願件数の変化傾向で競合他社が関連製品又は技術の研究開発への重視度を把握することができる。また、出願地域で競合他社の地理的な市場分布を把握することができる。そして、法律状態で実際に存続している特許件数を把握することができる。なお、これらの情報を競合他社の特許実力を評価する基礎とすることができる。


更に、同一期間及び同業界の全体的な特許件数、及び同業界のその他の競合他社の特許件数と比較することにより、競合他社が業界における地位を見出すことができる。また、競争環境の分析結果を結び付け、競合他社の技術発展傾向、市場企画方向を予測することもできる。

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2、特許分類番号分析

現在、使用されている特許分類体系は、主に国際特許分類体系(IPC)、連合特許分類体系(CPC)、日本特許分類体系(FIとF-Term)がある。また、DWPI (Derwent World Patents Index)で使用されている手動コード分類体系もある。いずれの分類体系でも、特許分類番号を統計分析することにより、競合他社の技術分野、技術特徴、技術優位性などの情報を入手することができ、また、出願日、公開地域を結び付け、競合他社の技術発展傾向、地理的分布、技術開発戦略及び注目点などの示唆も把握することができる。

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3、ファミリー特許分析

競合他社のファミリー特許の件数と地理的分布を分析することにより、競合他社の重点的な特許と海外における市場戦略を把握することができる。ファミリー特許が多い特許は競合他社の重点的な特許となっているので、その保護内容が競合他社のコア技術である可能性が高い。また、出願国は市場開拓の範囲を示している。

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4、よく引用された特許の分析

通常、引用された回数が多い特許は、当該分野の基礎技術である。また、引用の世代間の関係により、技術発展の経緯を分析し、将来の発展傾向を予測することができる。更に、関連会社の間の引用関係を分析することにより、関連会社の技術競争性又は継承性を把握することもできる。そして、引用された回数とIPC番号の分析を結び付け、競合他社の重点的な開発分野などを把握することもできる。

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5、発明者分析

発明者の数は競合他社の研究開発チームの規模と実力を示している。また、第一発明者である特許の件数、引用された回数、及びファミリー特許の件数から主要発明者を見出すことができる。更に、主要発明者の特許出願、科学文献及びその他の関連情報により、競合他社ひいては業界全体の技術発展傾向と方向を分析することができる。

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競合他社の非特許情報の範囲は広いため、収集又は統計の難度が高い。よく見られている情報の収集ルートとして、競合他社のHP、年間レポート、展覧会、当業界のウェイブサイト、サプライヤー、経営信用情報(国家企業信用情報公示システムに収録された工商情報、クエリプラットフォームなどに収録された情報など)等がある。また、業界専門家へのインタビュー、業界会議への参加、政策方向性の調査、証券会社のレポート調査などの方式により、競争環境を調査し、競合他社の関連行為の背景、原因及び目的を分析することもできる。


非特許情報は競合他社分析で主に二つの役割を果たす。一つは、補足と検証。即ち、特許情報の分析結果を得てから、更に総合、帰納、識別、評価などの方法により精確な分析結論を得る。もう一つは分析の手がかりを提供すること。即ち、競合他社のある行為と状態を出発点として、特定の特許分析を行い、競合他社が行った関連活動(特許出願、特許保護及び特許運用など)を調査する。また、それら行為の原因を分析することにより、競合他社の特許管理モデルと特徴を研究する。


競争環境に対する全面的な分析が必要である場合、競争情報分析の理論を基に、SWOT分析法、ポーターの5つの力モデル、PEST分析法、戦略的地位と行動評価マトリックスモデル、ECIRM戦略モデル、デルファイ法調査分析モデルなどで競合他社に対する深めた分析を行うことができる。


総じて言えば、競合他社の特許情報分析は、一般的に、一種又は多種の方法の組合わせで行い、また非特許情報を補足、検証として、競合他社の全体的な技術開発実力、市場戦略、業界地位を評価し、競合他社を全面的に把握する。4


注:

1.https://wiki.mbalib.com/wiki/%E7%AB%9E%E4%BA%89%E5%AF%B9%E6%89%8B%E4%BF%A1%E6%81%AF

2.唐炜,劉細文.特許分析方法及びそれが競合他社分析における応用[J].現代情報,2005(9):179-186.

3.劉桂鋒.国内特許情報分析方法体系構築研究[J].情報雑誌,2014,33(3):16-21.

4.劉紅光,呂義超.特許情報分析が特定の競合他社分析における応用[J].情報雑誌,2010,29(7):35-39.




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