元社員による営業秘密侵害に厳罰 最高人民法院、懲罰的賠償を適用
時間: 2025-11-20

 最高人民法院はこのほど、不正競争防止分野における典型事例を公表した。その中で、遠心圧縮機の選定ソフトウェアおよび営業秘密を侵害した事件の判決が、業界内外の注目を集めている。判決では、元従業員3名が匿名で競合会社を設立し、元勤務先企業の技術ノウハウやソフトウェアの著作権を継続的に侵害していたとして、最高人民法院(二審)は被告側の侵害行為を認定し、懲罰的賠償を適用し、被告らに対し約1億6600万元(1元は約21.8円)の賠償を命じた。

 

 本件の原告は、大手遠心圧縮機メーカーの沈鼓集団とその子会社・瀋陽透平公司である。両社は長年にわたり遠心圧縮機の研究開発に取り組み、2003年には独自のデータと計算モデルを組み込んだ選定ソフトを完成させていた。社内では厳格な秘密保持体制を敷いていたが、元社員3人は在職中に配偶者などを通じて匿名で競合会社「斯特公司」を設立し、技術データやソフトを不正に流用して製品開発や販売を行っていた。

 

 原告側は2011年にも斯特公司の侵害行為を告発し、同社は侵害行為の停止を約束したものの、実際には不正利用を継続していた。このため、原告は2020年に再び民事訴訟を提起した。

 

 一審では営業秘密侵害が認められたものの、賠償額は2500万元にとどまった。しかし、最高人民法院(二審)は、被告らが匿名で会社を設立し、秘密裏に侵害行為を繰り返していた点を重く見た。悪質性が高く、故意が明白であるとして、2倍の懲罰的賠償を適用し、斯特公司と被告3名に約1億6600万元の連帯賠償を命じた。

 

 最高人民法院の関係者は、本判決を「従業員が匿名で同業他社を設立し、元の会社の営業秘密を侵害する行為に対する厳格な取り締まりの典型例」と位置付けた。営業秘密侵害の繰り返しに対する立証責任の明確化や、匿名設立会社による責任の所在を判断する上で重要な先例になるとしている。


出所:中国知識産権資訊網


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