優先権日が商標異議申立案で重要な役割を果たす
時間: 2023-04-27 李一佳 アクセス数:

商標ウォッチングを行う際に、先行登録商標と完全に同一又は非常に類似な商標が類似商品において異議公告されたという不思議なことが見える。この場合、先行商標の権利者は、なぜ商標局が当方の既に同一又は類似な商品に登録された類似商標を引用して当該後願商標を拒絶しないかという疑問を抱くようになる。本稿では、事例を挙げながら、その原因を説明する。

 

クライアント様が第12366576号の「DOPE」商標(以下、「被異議商標」)に対して異議を申し立てることを当所に依頼した。国家知識財産権局が審理後、被異議商標の登録を拒絶した。


本件の背景

埃克賽兹貿易公司は、「DOPE」商標の所有者であり、第12366576号の「DOPE」商標が自社の商標と共存すると、公衆に誤認させやすいため、自社が損失を被ると判断した。したがって、当所に当該商標に対する異議を申し立てることを依頼した。


被異議商標と引用商標の対比

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本件の概要

2014年9月15日に、代理人が次ぎの理由で異議申立を提出した。

1)    異議申立人の引用商標の優先権日が被異議商標の出願日よりも早い。

2)    被異議商標と引用商標とは同一又は類似商品における同一な商標になる。「商標法」第30条の規定により、被異議商標の出願が拒絶されるべきである。

3)    国家知識産権局は2016年2月27日に、「被異議商標と引用商標の英文が完全に同じである。被異議商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似商品になる。二つの商標が共存すると、公衆に商品の出所を混同させやすいため、被異議商標の登録を拒絶する。」という裁定を下した。


本件のポイント

本件のポイントは、引用商標(先行商標権)の優先権日に対する認定、及び商品の類似性に対する論証にある。

 

異議申立案において、当事者双方、及び国家知識産権局は、被異議商標と引用商標の中国における出願日のみに注目し、商標の優先権日を考慮することを忘れたことが少なくない。このような状況は通常、元の出願国の優先権に基づいてマドリッドルートで中国を指定した商標に係る案件で発生している。本件は同様な状況である。即ち、国家知識産権局は、引用商標(マドリッドルートで中国を指定した)の優先権日を考慮することを忘れており、被異議商標の登録を許可したため、二枚の同一な商標が同一又は類似の指定商品で登録されるようになった。異議申立人がこのポイントをつかんで、最終的に被異議商標の登録を差し止めた。


まとめ

国家知識産権局は2016年2月27日に、被異議商標の登録を拒絶するという裁定を下した。

 

なお、現在の商標案件において、先行商標の優先権を考慮することを忘れた状況が少なくなった。但し、商標権者として、商標権行使の際に自社商標の優先権日を適時に利用すると、審査の期間を大幅に短縮することができると思われる。


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