【康信コメント】アップルが知的財産局を告訴、一審で敗訴
北京市第一中級人民法院は2014年7月8日午前、国家知的財産局特許復審委員会で出した21307号決定を支持する判決を出した。この決定は上海智臻網絡公司が所有する「あるチャットロボットシステム」の特許が有効である内容で、相手のアップル社は法廷で上訴すると表明した。
3万字の判決書で北京第一中院は、復審委員会の関連特許が有効であるとした決定を維持した。登録番号がCN200410053749 .9である特許「チャットロボットシステム」は2004年8月出願され、2009年に正式に特許として登録された。上海智臻網絡公司は2012年6月に上海第一中院人民法院に起訴し、アップル社製iPhoneのSiriは自社の「小iロボット」の特許権を侵害したと告訴した。
Siriはi phoneにあるアプリであり、ユーザーが声で電話をかけるとかメッセージを発送する機能がある。「小iロボット」はSiriと似ているアプリであり、2001年にサービスを開始し、2007年から「小iロボット」は政府、企業にサービスを提供している。
上海智臻社がアップル社を起訴した後、上海法廷は2012年7月と8月二回の審判を行い、まだ審決していない。アップル社はSIPOの復審委員会に「小iロボット」の特許無効請求をしたが復審委員会は第21307号で特許権の有効を認めた。アップル社は2013年末に復審委員会を北京第一中院告訴した。
上海智臻社の斯伟江代理弁護士は記者に2014年7月8月の判決は予想とおりであると告げた。上海智臻社とアップル社はこの判決に対しノーコメントである。
この判決は上海智臻とアップル社にどのような影響を与えるかはまだ不明である。もし、アップル社が最終的に敗訴すればSiriは中国市場で販売禁止になるか和解するかである。2012年アップル社と深セン唯冠のiPad商標案件で和解が成立し、アップル社が6000万ドルを支払うことになった。
出所:南方都市新聞
【康信コメント】
李志剛(弁理士):北京第一中級人民法院(以下北京一中院)が判決を出した直後に、多くのメディアはアップルがSIPOを告訴するであろうと報道した(本当はSIPO直属の復審委員会)。この件は普通の特許行政訴訟案件であったが、アップル社と関係があったため、大衆の関心を引き起こしている。
北京一中院は年間何百件の行政訴訟を受理しているため、このケースは決して珍しい案件ではない。2013年の受理量は818件、審決した案件は約700件で、平均にして毎日2件のペースで行政訴訟が行われているためである。
『中華人民共和国特許法』第四十六条の規定によると特許復審委員会は特許無効または特許権維持の決定に不服の場合、通知を受取った3ヶ月以内に人民法院に起訴することができる。特許復審委員会は国家行政機関であり、特許無効または特許権の有効維持決定を出すのは行政行為である。『中華人民共和国行政訴訟法』第十一条の規定によると行政行為に対し、行政機関の公務員または行政機関の行政行為に不服な場合起訴が可能で人民法院は受理する義務がある。もし、アップル社が特許権侵害になればSiri機能があるアップル製品(iphone 4S以降のシリーズ商品)は中国での製造と販売が禁止される。
アップル社が「小iロボット」に対して特許審査委員会に提出した特許無効理由(明細書公開不十分、請求項の不明確、必要な技術特徴が欠如、新規性と創造性の欠如など)は、全部却下された。訴訟での主張も北京一中院で支持を受けていない。しかし、Siri機能がすぐにアップル製品に使用できないことではない。アップル社は法廷で告訴をし、裁判がうまくいなかなくても一審、二審まで時間がかかるためだ。
2012年、アップル社はipad商標案件に対し深セン唯冠に6000万ドルを支払った。今回の特許案件の結末はまた不明であるが、上海智臻社が起こした今回の訴訟は中国の知的財産権を所有する企業によい影響を与えた。