2024 年 12 月 24 日、エンタープライズ特許監視官 (PRIP) によると、最高人民法院が最近、「華為（ファーウェイ）対Netgear（ネットギア）」事件において反禁訴令(anti-anti-suit injunction，AASI) を下した。中国の裁判所が世界標準必須特許のSEPガバナンス分野でAASIを行ったのもこれが初めてである。

判決書（判決書全文）において、最高人民法院は下記のように裁定を下した。１．これら 2 件の訴訟の審理中および判決後、Netgear（ネットギア）およびその関連会社は、米国およびその他の国や地域の裁判所、税関、またはその他の行政法執行機関に、「華為（ファーウェイ）がこれら2 件の訴訟についてNetgear（ネットギア）よびその関連会社に対して中国において特許侵害訴訟を継続、または新たな訴訟を提起することを禁止する」と請求してはならない。２．これら 2 件の事件の裁判中および判決後、Netgear（ネットギア）およびその関連会社は、Netgear（ネットギア）に対するこれら2件の訴訟の中華人民共和国の裁判所による判決の執行を華為（ファーウェイ）が申請することを禁止することを目的とした申請を、米国およびその他の国や地域の裁判所、税関、またはその他の行政法執行機関に提出してはならない。３．Netgear（ネットギア）およびその関連会社が、米国およびその他の国および地域の裁判所、税関、またはその他の行政法執行機関に上記の申請を提出した場合、本判決の受領後 24 時間以内に上記の申請を取り下げるか、中止するものとする。４．Netgear（ネットギア）は、本判決について、米国およびその他の国および地域の裁判所、税関、またはその他の行政法執行機関にこれ以上の対決的な申請を提出してはならない。

本判決に違反した場合、ネットギア（北京）及びネットギア社には、違反日から 1 日あたり 100 万人民元の罰金が課せられ、日単位で累積される。

また、これは、中国、米国、欧州の主要な管轄区域が関与するこの訴訟において、華為（ファーウェイ）がNetgear（ネットギア）に対して獲得した3番目のAASIでもある。

ちょうど昨日、国際的な知的財産メディアIP Frayが、この訴訟に関する欧州での2件の訴訟について報じ、両方の裁判所とも訴訟でAASIの判決を下した。1 つは 2024 年 12 月 11 日に欧州統一特許裁判所のミュンヘン法廷によって行われたものであり (事件番号 UPC_CFI_791/2024)、もう 1 つはドイツのミュンヘン第一地方裁判所によって行われた (事件番号 7 O 15249/24)。 ）。

実際、中国とヨーロッパの管轄区域はほぼ同時に AASI を発令し、すべて同じ事実を指摘している。即ち、被告の米国Netgear（ネットギア）が今月4日にカリフォルニア州中央地区連邦地方裁判所に提出しようとした禁訴令（ASI）の申し立て。

この申し立てでは、米国裁判所が禁執令（Anti-Enforcement Injuction、禁訴令 ASI に相当）を最優先で発令することを望んでおり、当該禁令が発令できない場合は、第 2 の優先事項として暫定ライセンスの実施（Entry of interim license ）を求めることとしている。この動きの目的は、ヨーロッパでの華為（ファーウェイ）の訴訟が、華為（ファーウェイ）に対する反競争法訴訟の米国裁判所の審理に影響を与えることを防ぐことである。Netgear（ネットギア）は、欧州司法裁判所が自社に対して差し止め命令を出すことをすでに予見しており、同裁判所が差し止め命令を出し次第、差し止め命令が出されれば、ヨーロッパの禁止地域ではネットギア製品を販売できなくなる。

案の定、2024年12月18日、華為（ファーウェイ）は欧州で大きな勝利を収めた。欧州統一特許裁判所のミュンヘン法廷は、米国企業Netgear（ネットギア）が華為（ファーウェイ）のWi Fi 6欧州特許EP3611989を侵害したと認定し、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、スウェーデンなどの主要市場を対象とする７カ国に差止命令を発令した。この差止命令は、欧州統一裁判所が設立以来、3度目のSEP差止命令となった。

同様に、中国におけるこの事件の裁判も白熱した段階に入っている。

2024年6月12日、済南市中級人民法院は一審判決を下し、Netgear（ネットギア）のWi-Fi 6製品が華為（ファーウェイ）の中国特許2件を侵害していると認定した。その後、Netgear（ネットギア）は最高人民法院に上訴し、現在審理中である。今回、最高人民法院が出したAASIの論理に従えば、最高裁判所も二審でも一審の判決を支持する可能性が高い。その後、中国の自動差止命令制度に従って、Netgear（ネットギア）も中国市場での販売差止に直面することになる。

Netgear（ネットギア）が中国とヨーロッパの二大市場で禁止に直面することになった場合、Netgear（ネットギア）は通常の商談を通じて紛争を解決するのではなく、敗北を救うためにすべての希望を米国の裁判所に託すと、この世界的に焦点を当てた紛争によって引き裂かれた「襤褸隠」は、米国の裁判所及びその長年批判されてきた「ロングアーム」管轄制度に違いない。

出所：企業専利観察Wechat公式アカウント