康信事例:不規則の模倣品製造行為に対する効率的な証拠収集
時間: 2023-03-01 郭超 任暁東 アクセス数:

事例概要

 Royal DSMは、オランダに本社を置き、有名な化学企業である。DSMの製品は、食品栄養と技術、栄養補助食品、早期栄養、パーソナルケア製品、医薬品と医療機器、動物栄養、自動車と輸送、電気と電子、生命保護、代替エネルギーとバイオベースの材料などで広く使用されている。DSM Intellectual Property Assets Co., Ltd. (以下「DSM」) は、知的財産権の管理を専門とする主体であり、中国で「DSM」および「Stanyl」に対して登録商標専用権を有する。


 2020 年下半期、DSM は江西省にあるエンドユーザーから、蘇州のあるプラスチック化学有限公司 (以下、「蘇州公司」) から購入したStanylブランドが付けられているプラスチック粒子が、模倣品の疑いがあるという情報を受け取った。確認したところ、蘇州公司が販売した製品はDSMのものではないと判明した。その後、DSM は対応案を講じることを当所に依頼した。当所が現地の公安に蘇州公司の模倣品製造行為を摘発してから、公安と一緒に現地調査と証拠収集を行った。


 簡単な調査を行ったところ、蘇州公司の販売モデルは受注を受け取ってから製造することであり、また模倣品製造のタイミングも不定期であるため、従来の調査・証拠収集方法では完全な侵害証拠を得ることが難しいことは判明した。手がかりがエンドユーザーから得たことを考慮し、当所は証拠収集の焦点をエンドユーザーに移した。その後、何回もコンタクトしてから、やっと完全な証拠チェーンを取得した。


 蘇州公司の実際の管理者は劉であり、蘇州公司の模倣品の製造と販売はすべて劉によって計画・実施されている。調査を行ったところ、蘇州の会社が、白いパックのプラスチック粒子と「DSM」と「Stanyl」のロゴが印刷されたプラスチック包装袋とを購入し、そして、「DSM」と「Stanyl」の材料コンポーネントである GF30 の純正品であるかのように偽装して再梱包してから、販売することがわかった。2019年11月から2020年3月までの期間だけで、蘇州公司は4,200 キログラムの偽造「Stanyl」製品を271,400元相当販売した。


 当所の協力により、公安部門が調査・証拠収集を順調に行ってから、短期間で本件の提訴・捜査を行い、また検察院へ審理・起訴を移管した。


 裁判所は、下記のように意見を出した。DSM が「DSM」および「STANYL」の商標の専用権を有し、蘇州公司がその事業活動において会社の名義で関連行為を行い、その後の営業活動のために資金を集めたことは、会社犯罪の特徴に適合している。また、蘇州会社がDSMの許可を得ず、当該商標の指定商品と同種の商品に当該標識を使用することは、刑法第213条に規定の「その登録商標と同一の商標」とみなすことができ、その行為は刑法第 213 条に規定の登録商標偽造罪の構成要素に適合している。さらに、劉は蘇州公司の直接責任者であり、刑法第213条の規定に従って処罰されるべきである。


最終判決

1. 被告の蘇州公司が登録商標偽造の罪を犯し、5 万元の罰金を科す。

2. 被告の劉は登録商標偽造の罪を犯し、3年3月の懲役と10 万元の罰金を科す。

3.本件で捜査及び押収した模倣品のプラスチック粒子製品とその包装袋について、没収する。

4.被告の会社である蘇州公司と被告の劉の不法所得を引き続き追徴し、没収する。


まとめ

 本件における被告の侵害行為は、不規則の模倣品製造に該当し、しかも隠蔽されている。即ち、注文を受けて初めて梱包材を購入し、侵害行為を実施するという形である。そのため、通常の調査方法であると、短期間で完全な証拠チェーンを取得することが非常に無図解しい。したがって、如何に経済的かつ効率的に証拠収集を行うかが、本件の鍵となった。弊所調査員は、下記の二つ面から着手し、クライアントの依頼を受けてから、証拠収集、公安への摘発、検察院での審査・提訴及び法院への公訴提起、法院からの最終刑事判決まで、合計15ヶ月のみ掛かった。①既存のエンドーユーザーからの手がかり(証拠)をまとめて固定するとともに、②被告の現場で残った模倣品を固定する。


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