被告の宣伝活動における自認は、製造行為の認定根拠とすることができる
時間: 2022-10-27 アクセス数:

——(2021)最高法知民終1452号


最近、最高人民法院知的財産権法廷は、上訴人の江蘇剪式錨固技術有限公司(以下、「剪式錨固公司」)と被上訴人の邯鄲市特盾緊固件製造有限公司(以下、「特盾公司」)との特許権侵害紛争の一審について最終判決を下した。同判決において、宣伝活動で製造者であると自認し、合法的な出所について十分に立証し抗弁しなかった被上訴人の特盾公司が、被疑侵害製品を製造する行為を実施したと認定した。


剪式錨固公司は「剪式拡張ボルト」特許(以下、本件特許)の独占的通常実施権者(ライセンシー)として、特盾公司のウェブサイトで被疑侵害製品を購買する過程を公証してから、当該公証書及び公証購買した被疑侵害製品の実物をもって、訴訟を提起し、特盾公司が被疑侵害製品を製造、販売及び販売の申し出した行為が自社特許権を侵害した理由で、特盾公司に侵害行為を停止し剪式錨固公司の経済的損害を賠償せよと命じることを法院に請求した。

一審法院は、審理後、「被疑侵害製品が本件特許の保護範囲内であり、特盾公司が被疑侵害製品を販売する会社として、合理的な注意義務を履行しなかったため、その合理的な出所に対する抗弁を認めない」と判断した。よって、特盾公司が被疑侵害製品の販売を停止し、剪式錨固公司の経済的損害を賠償するという判決を下した。


剪式錨固公司は、上記判決に不服として、上訴を提起した。その理由として、特盾公司のその対外宣伝には、そのビジネスモデルが製造業者であることが記載されており、また被疑侵害製品の構造、部品及び応用シーンに関わる詳細な紹介もある。しかも、インターネットで被疑侵害製品を販売する際に「特盾」商標を明確に付けている。上記の事実により、特盾公司が被疑侵害製品を製造する行為を実施したと証明できる。しかし、特盾公司は、被疑侵害公司が外部から購入したものであると弁解した。


最高人民法院は、審理後、下記のように認定した。

 

通常、被疑侵害製品に製造者の会社名、商標などが明確に付けられており、これらの情報により製造者の身分情報を確認できる場合、十分な反証がなければ、その明確に付けられている会社が特許法に定義の被疑侵害製品の製造者であると認定することができる。但し、当該付けられている情報は本件のその他の証拠と矛盾し、製造者の身分を十分に証明できない、しかも、被疑侵害者が十分な反証を提出した場合、判明した事実により判断すべきである。


本件において、先ず、被上訴人の特盾公司は、業務内容にファスナーの製造が含まれているため、被疑侵害製品を製造する能力がある。そして、特盾公司はネット店舗の販売情報画面に「特盾ファスナー」「工場直販」「工場からバイヤーまでの距離を短縮」などの情報を明確に記載しており、また会社紹介で「建物アンカーの研究開発、製造、販売、配達、サービスを専門とするハイテク企業」と記載しており、さらに被疑侵害製品の画像に特盾公司の商標を付けている。したがって、これらの証拠により特盾公司が被疑侵害製品を製造したことを証明することができる。なお、特盾公司は、被疑侵害製品が自社で製造したものではなく、合法的な出所があると弁解し、Wechatにおけるチャット履歴及び第三者(特盾公司が称した仕入先)からの書面証明などの証拠を提出したが、そのチャット履歴で被疑侵害者の取引情報を証明できない。しかも、その他の取引伝票などの証拠もないため、特盾公司の提出した証拠は、被疑侵害製品が特盾公司により製造された認定を覆すことに十分ではない。上記を踏まえ、最高人民法院は、特盾公司が被疑侵害製品を製造するなどの行為を実施したと認定し、特盾公司が製造、販売、販売の申し出などの侵害行為を停止し、損害賠償(原審判決よりも高い)を支払うという判決を下した。


本件、最高人民法院は、ネット販売における侵害行為に対して立証が難しい現実の下、立証責任を合理的に配分した。即ち、被疑侵害者が被疑侵害製品を製造する資格と能力があり、対外の宣伝で製造者であると自認した場合、立証責任を被疑侵害者に移転し、被疑侵害者に合法的な出所について十分な証拠を提出させる。このようで、権利者が法により自社権利を保護することがより容易になる。


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