どのように技術成果を保護したほうがよいか?商業秘密? or 特許権?
時間: 2021-12-01 孫芳 アクセス数:

技術成果について、特許権で保護するか、それとも商業秘密で保護するかという選択に困る企業は多い。どちらでもメリットとデメリットが存在するため、どちらでも良いという観点もあるが、筆者としては、現在の時代背景において、特許権で保護したほうが良いと思う。

 

10月29日、北京知的財産権法院は「商業秘密侵害民事訴訟における挙証の参考」を公布した。それとともに、2014年に北京知的財産権法院が設立してから今迄の商業秘密侵害民事訴訟の審判状況を公布した。その中、163件を受理し、120件を結審した。また、判決で終了した案件は43件、その中、技術秘密に関わる案件は33件がある。更に、判決で終了した43件の案件の中、原告が勝訴した案件は17件がある。上記の統計データから見ると、平均で年間約23件を受理し、判決で結審した案件は約三分の一、原告の勝訴率は僅かの14%である。


上記統計データは、実践において、商標秘密で権利行使、特に技術秘密で権利行使の実際の状況を示している。

 

これに対して、特許権侵害紛争の件数が連年増える一方である。特に、今年の新エネルギー分野の寧徳時代(原告)と江蘇塔菲尔との特許権侵害訴訟(原告勝訴)は、国内特許権者の神経を搔き立て、法制社会で市場競争の新たな手段を示した。

 

勿論、筆者は、商業秘密で技術成果を保護することに反対することではない。逆に、企業として、完備した商業秘密制度を立ち上げた上、なるべく特許出願で技術成果を保護することを薦める。

 

特許と商業秘密とは対立の関係ではなく、この両者は、それぞれ異なる段階での技術成果を保護する手段である。


1.特許権による保護を優先的に選択する≠商業秘密による保護を放棄する


商業秘密制度は企業管理の一つの重要な制度である。

 

商業秘密は、営業秘密と技術秘密を含む。営業秘密は、通常、何れかの企業にもあるが、技術秘密は、技術型企業だけにある。なお、必要な守秘措置が欠如する場合、特許出願をしても殆んど登録できないと思われる。例えば、出願する技術案がミス又は不正な手段で公衆に公開されたことにより新規性及び/又は進歩性がなくなる場合。


言い換えれば、特許出願の前に、関連の技術成果の全ての内容を商業秘密として厳格に保護するべきである。

 

商業秘密として保護するのは、企業の生産経営にとって非常に重要な技術情報又は営業情報であるべきである。このような秘密の主な目的は、法的手段で権利行使することではない。一方、特許を出願する目的は、公開により保護を求める、即ち、法律による保護を求め、合法的な手段で競合相手を排除又は抑制することである。

 

したがって、この両者は注目点が異なる。次に、事例を挙げてみよう。


ある中国特許権の請求項1:

以下のステップを含む衣類素材製造方法:下敷き(32)上に凝固剤(34)をコーティングする。…凝固剤(34)でフォーム(38)の一部を凝固させる…。衣類素材が…にさらされる場合の衣類素材の水分含有量を1cm2あたり1.0mg~8.5mgに維持するよう、…流体を下敷き(32)と整列させて、発泡体の外側の非凝縮層を下敷き(32)から除去することにより、下敷き(32)上に粘着性の多孔性で通気性のある凝固ポリマー材料の層を残す。


明らかに、上記請求項1のみに基づいて衣類素材を製造するのは難しい。また、本特許の明細書にも、幾つかの記載が詳しくない実施例だけが開示されている。即ち、関連の開示内容が不十分である。

 

そのため、当該特許権侵害訴訟において、代理人(筆者)は、特許権者に実際の製造状況を確認した。特許権者の話では、「当該特許に発明の第一層だけが開示された。このようにすれば、その開示内容に基づいて、当業者であっても、同様な衣類素材を製造できるが、保護範囲内の最も優れた技術案を得ることが難しい。一方、発明のコア技術を商業秘密として隠したことで、自社のコア競争力を保障することができる。一方、特許権で競合他社が類似製品を製造することも抑制できる。」


2、特許権で権利行使したほうがより易い


実務において、原告にとって、商業秘密、特に技術秘密を証明する難度が非常に高い。秘密点を合理的にまとめ、鑑定機構に鑑定される必要もあり、所有権があること、守秘措置を行ったことなどに関わる証拠を提出する必要もある。また、刑事案件としての立件基準を満たした場合でも、権利侵害の証拠収集は非常に難しい。

 

更に、訴訟の過程だけにおいても、商業秘密の認定に参与する主体は、被告、原告の代理人、鑑定機構、一審法院、二審法院等様々ある。それに、現在のメディアが益々多様化され、便利であるので、商業秘密の二次披露又は更なる披露を如何に防止するかは重要な課題となる。


それに対して、特許権侵害訴訟の場合、特許の保護範囲が確定された、技術的特徴の対比分析も客観的であるため、原告の挙証負担がより軽い。実務においては、特許権が有効である場合、原告の勝訴率が比較的に高い。


3、社会の発展には更に速い技術革新が必要である


技術上で絶対的に守秘できる内容がないと思われる。したがって、競合他社は、遅かれ早かれその技術を知ることができる。企業にとって、特許で適度且つ適時に技術成果の内容を開示することにより、自社の市場における地位を維持するとともに、自社の継続的なイノベーションと当業界の関連技術の革新・発展を促進することもできる。

 

4.特許出願で自社のポジティブな社会的イメージを確立することができる


2014年、ムスクはすべてのテスラ特許の公開を発表した後、社会公衆から多くの好評を受けた。それはプローモーション活動であっても、非常に成功でしたとは言える。その他の会社は真似ようとしても、結構の件数の特許を持たなければできない。

 

総じて言えば、特許権により技術成果を保護することを優先的に考慮したほうが良いと思われる。


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