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特許権侵害訴訟における特許無効戦略の考え方
時間: 2021-08-30 呉貴明 アクセス数:

中国知的財産権法律制度の日々完備的になることにしたがって、益々多くの中国企業の注目点は、特許出願の件数から品質に変わってきた。

 

一方、中国において、国内企業と海外企業との技術取引、合弁、OEM生産などの協力が益々活躍になってくるにしたがって、知的財産権紛争も多くなってきた。

 

コロナの影響で経済不景気の2020年でも、特許権侵害訴訟が多くあった。最高人民法院の一つの法院のみで、特許と実用新案に関わる侵害訴訟の2審は、2019年より72.8%増の1189件[1]も受理した。


特許権侵害訴訟において、権利侵害で訴えられた一方は多くの対応策を講じることができる。

 

例えば、権利者にライセンス費を支払うことで紛争を解決することもできるし、自社製品が権利者の特許保護範囲外である理由で非侵害抗弁をすることもできる。また、先行技術を以って抗弁することもできる。

 

但し、ライセンス費を支払おうとするが、相手に求められるライセンス費が高すぎることがある。非侵害抗弁をしようとするが、難度が極めて高いこともある。また、先行技術で抗弁しようとするが、原告特許の出願日より早い、且つ自社製品と類似する先行技術が見付からないこともある。


この場合、原告の特許に対する無効審判請求を提起することは侵害訴訟を解決する最も有効的な方法になる。


無効審判で一審、二審における特許権侵害紛争を徹底的に解決することができる。

 

詳細について、当所が代理した特許権侵害紛争の事例で説明する。欧州のある機械メーカーが特許権侵害で中国国内のある上場会社を訴え、また法院により当該上場企業に対して現場での証拠保全を行った。


当所は当該国内上場企業の依頼を受けてから、国家知識産権局復審委員会(以下、「復審委員会」と略称する)当該欧州機械メーカーの特許に対する無効審判を請求した。

 

無効証拠として、当所弁護士は、無効資料調査で見付かった相手特許の進歩性と新規性を否定できる有力な先行技術文献を復審委員会に提出した。

 

そして、復審委員会が口頭審理を行った後、相手は、自社特許が進歩性なしで無効にされる可能性が高いと考え、当該国内上場企業との和解を請求した。最終的に、本件は双方がそれぞれ取り下げたことで終了した[2]


権利侵害と訴えられた場合、特許権侵害訴訟の一審で権利侵害が成り立て、賠償金を支払うという判決が下されたとしても、二審中、相手の特許を無効にすることができれば、侵害紛争を解決することができる。

 

典型的な事例として、北京握奇公司が特許権侵害で恒宝公司を訴えた訴訟が挙げられる。当該訴訟の一審において、恒宝公司の権利侵害が成り立て、合理的支出を含む合計5000万元の賠償金を原告に支払うという判決が下された。

 

しかし、二審において、恒宝公司が無効審判を提起し、原告の特許を無効にした。これにより、北京高級人民法院は一審判決を取り消し、原告の請求を却下するという二審判決[3]を下した。


特許無効審判を提起する目的は必ず相手の特許を無効にすることに限らない。

 

特許権侵害紛争において、訴えられた一方が特許無効審判を提起する目的は原告特許を無効にすることに限らない。

 

ある場合には、原告にその特許の保護範囲を狭くさせることができれば、禁反言の原則により勝訴することができる。


典型的な事例として、シンセン創格公司と馬希光氏が実用新案権侵害で康柏公司を訴えた訴訟が挙げられる。当該案件において、康柏公司が無効審判を提起した。そして、無効審判において、特許権者が自社特許の有効性を維持するために、請求項1における「交換可能」を「互いに入れ替えることが可能」に解釈した。即ち、技術案に記載の部品「ベーススロット」が互いに入れ替えることが可能であることに解釈した。この特徴により、特許権の有効性が維持された[4]。一方、本件侵害訴訟において、康柏公司が「ベーススロット」が交換できないことを主張した(即ち、特許権者の無効審判での解釈を利用した)ので、最終的に禁反言の原則を以って勝訴した。


相手特許の無効証拠を入手するルートは様々ある。

 

上記で述べたように、特許権侵害訴訟において、無効審判を十分に利用すれば、特に相手の特許権の基礎を全て無効にした場合、権利侵害訴訟を徹底的に解決することができる。

 

一方、相手特許を無効できる一番重要な要素は、相手特許の新規性と進歩性を否定できる有用な証拠を入手することである。


特許無効審判において、無効審判請求人は主に特許データベースで先行技術文献を検索するが、実践において、インターネットで公開された技術論文、ECサイトで新発売された技術及び製品、図書館の書籍及び刊行物などのルートで先行技術証拠を探すことも考えられる。

 

更に、特許権者のところでその特許権の無効証拠を発掘することも考えられる。事例として、国家知識産権局が2020年3月4日に下した第43581号無効決定に関わる侵害訴訟[5]が挙げられる。


当該訴訟において、大手多国籍企業のDaimler AGは自社Smart自動車の意匠権侵害として、中国国内のある自動車メーカを訴えた。

 

しかし、被告になった自動車メーカは、Daimler AGが当該意匠権の出願日前に既に自社の類似するコンセプトカーを「騰訊自動車網」と「易車網」に掲載した証拠を取得できた。したがって、この証拠を先行設計証拠として、原告の関わる意匠権を無効にした。そして、これに基づいて、法院はDaimler AGの訴訟請求を却下した[6]


侵害訴訟で特許無効審判を提起するタイミングは重要である。

 

「最高人民法院による特許権侵害紛争案件の審理における法律適用問題の関する若干規定」の第9条により、人民法院が受理する実用新案権、意匠権侵害紛争案件において、被告が答弁期間内に当該権利の無効宣告を請求する場合、人民法院は訴訟を中止しなければならない。

 

したがって、上記のような場合、権利侵害訴訟を中止させるために、訴えられた一方は15日間の答弁期間中に国家知識産権局に無効審判請求を提起する必要がある。


そして、なるべく相手特許を全て無効にし、侵害訴訟を徹底的に解決するために、現行特許法に規定の1ヶ月間の証拠補足期間内に、更に有力な先行技術証拠を探すことも必要である。

 

一方、訴訟が発生していない時に、自社製造・販売している製品に法的リスクをもたらす有効特許が存在するか否かについての調査、また特許無効審判請求の事前検討と準備、回避設計などのクリアランス作業も必要である。


参考文献

[1]最高人民法院知的財産権法廷年度レポート(2019)/(2020)

[2]民事裁決書(2016)雲01民初941号

[3]民事裁決書(2017)京民終399号

[4]国家知識産権局専利復審委員会「無効宣告請求審査決定書」第2133号

[5] Smart意匠権の無効、権利侵害に関わる裏話紹介 「IPRdaily」中国語公式サイト 2020-03-22

[6]民事裁決書(2019)豫01知民初907号

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