特許権技術評価書を用いて特許権侵害訴訟に対抗する
時間: 2021-07-30 弁護士 王春 アクセス数:

2020年に改正された「特許法」第66条には、「特許権侵害を巡る紛争が実用新案特許又は意匠特許に関わる場合、人民法院又は特許事務管理部門は特許権者又は利害関係者に対し、特許権侵害を巡る紛争を審議し、処理するための証拠として、国務院特許行政部門が関連の実用新案又は意匠について検索と分析、評価を行ってから作成した評価報告を提出するよう要求することができる。特許権者、利害関係者又は被疑侵害者も、特許権技術評価書を自発的に提出することができる。」と規定されている。


今回の改正で、特許権者、利害関係者以外に、被疑侵害者も特許権技術評価書を提出できる対象にすることは、特許権技術評価書の特許権侵害訴訟での役割が更に重要になることを示している。これは、実際に、特許権侵害と訴えられた者に、非侵害を証明する機会を提示した。

 

特許出願審査において、特許権技術評価書の役割は、実用新案又は意匠が実体審査を受けずに登録されたことによる権利不安定の欠陥を補うことである。


このような制度は、登録前に、審査効率を向上させるための審査期間短縮と、登録後の特許権権利基礎の安定性の確保との間のバランスを全体的に取ることができると思われる。

 

したがって、特許権技術評価書は、既に登録された実用新案又は意匠に対する再審査に相当する。また、「特許審査指南」の規定によると、特許権評価の内容は、殆んどすべての特許権登録可否に関する条項を含むため、完全に実体審査に相当する。


上記新特許法の規定及び特許権技術評価書制度により、実用新案又は意匠権侵害訴訟において、被告になる場合、先ず冷静に次の2点を分析・確認する必要がある。1)原告の特許権の安定性は?2)自社製品が本当に権利侵害になるか?

 

原告の権利基礎の安定性について

 

先ず、原告が裁判所に特許権技術評価書を提出したか否かを確認する。提出しなかった場合、国家知識産権局公式サイトで原告が特許権技術評価書発行の申し出があるか否かと確認する。なぜなら、実践において、原告が特許権評価書発行を申し出たが、その評価書の結論が自社に不利であるから裁判所に提出しなかった場合もあるからである。この場合、原告の権利基礎が不安定であることを証明するために、被告は、原告に特許権評価書の提出を求めることを裁判所に請求することができる。


なお、その法律根拠は、「最高人民法院による特許権紛争案件の審理における法律適用に関わる若干規定」第8条の規定である。即ち、案件審理に必要な場合、人民法院は原告に調査報告又は特許権技術評価書の提出を求めることができる。また、原告が正当な理由なく、提出しない場合、人民法院は、訴訟中止又は原告が可能な不利な結果に対して責任を負うという裁決を下すことができる。


被告は特許技術評価書の提出を原告に求めることを法院に請求する場合も、「案件審理に必要な場合」に該当する。

一方、国家知識産権局公式サイトで確認した結果、原告が特許権技術評価書の発行を申請しなかった場合、被告は、国家知識産権局に原告の特許権技術評価書を発行することを申請することができる。

 

そして、特許権技術評価書で原告に対する不利な結論が出された場合、速やかに法院に提出すれば、その後の訴訟で勝訴する重要な基盤を築くことができる。


総じて言えば、特許権技術評価書は、実用新案又は意匠権侵害訴訟に対抗する一つの手段であり、あるタイミングで訴訟の発展方向を逆転するすることができる。

 

なお、特許権技術評価書は、ただ裁判官が原告特許の安定性を審査するための一つの証拠だけであり、行政決定の効力を有しないため、それにより原告特許権が無効であると宣告することができない。原告特許を無効にしようとする場合、やはり無効審判を請求する必要がある。

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