最高人民法院による知的財産権侵害民事案件の審理における懲罰的損害賠償の適用に関する解釈
時間: 2021-04-29 アクセス数:

第1条 原告は被告が故意的に自社の合法的な知的財産権を侵害し、しかも侵害情状が深刻であることを主張し、被告が懲罰的損害賠償責任を負うことを要請する場合、人民法院は法により審査すべきである。


本解釈で称する「故意」は、商標法第63条第1項と不正競争禁止法第17条第3項に規定の悪意を含む。


第2条 原告が懲罰的損害賠償を要請する場合、提訴の際に賠償額、算定方法、及び事実根拠と理由を明確に提出しなければならない。


原告が一審の法定弁論が終了する前に懲罰的損害賠償の請求を追加する場合、人民法院はそれを許可すべきである。なお、二審で懲罰的損害賠償の請求を追加する場合、人民法院は当事者自由意志の原則により調停することができる。調停が不成立となった場合、当事者に改めて提訴することを通知する。

 

第3条 故意的な知的財産権侵害行為を認定する際に、人民法院は、知的財産権が侵害された客体の種類、権利状態及び関連製品の知名度、被告が原告又は利害関係者との関係などの要素を総合的に考慮すべきである。


次の何れか一つに該当する場合、人民法院は、被告が故意的な知的財産権侵害行為を有することを初歩的に認定できる。


(一)原告又は利害関係者から通知、警告を受領したものの、被告が依然として侵害行為を実施する。

(二)被告又はその法定代表者、管理者が原告又は利害関係者の法定代表者、管理者、実際のコントローラーである。

(三)被告は原告又は利害関係者との間に、労働、協力、許諾、ディーラー、代理、代表などの関係が存在する、しかも侵害された知的財産権を知っている。

(四)被告は原告又は利害関係者との間に、ビジネス上のやり取りが存在する、又は合意に達するための交渉を行ったことがある、しかも侵害された知的財産権を知っている。

(五)被告が海賊版を製造する行為、登録商標を模倣する行為を実施した。

(六)その他、故意的な侵害であると認定できる状況。


第4条 知的財産権侵害情状が深刻か否かを認定する際に、人民法院は侵害の手段、回数、侵害行為の継続期間、地理的範囲、規模、結果、侵害者が訴訟における行為などの要素を総合的に考慮すべきである。


被告が次の何れか一つに該当する場合、人民法院は侵害情状が深刻であると認定することができる。


(一)権利侵害で行政処罰を科された、又は法院に責任を負うことを命じされた後、再度に同一または類似する侵害行為を実施した。

(二)知的財産権を侵害することを業とする。

(三)侵害証拠を偽造、破壊又は隠匿する。

(四)保全判決の履行を拒否する。

(五)侵害が侵害による利益又は権利者が侵害による損失が巨大である。

(六)侵害行為が国家安全、公共利益又は健康に危害を及ぼす可能性がある。

(七)その他、侵害情状が深刻であると認定できる状況。


第5条 人民法院は懲罰的損害賠償額を確定する際に、関連法律により、原告の実際の損失、被告の不法取得又は侵害による利益の金額を計算ベースとして計算すべきである。当該計算ベースには、原告が侵害行為を制止するための合理的な支出が含まれていない。別途、法律に規定がある場合、その規定に準じる。


前項に記載の実際の損失、不法取得、侵害による利益が何れも計算できない場合、人民法院は当該許諾使用料の倍数により合理的に確定し、またこれを懲罰的損害賠償額の計算ベースとする。


侵害行為に関わる帳簿、資料の提出を人民法院に命じられたが、被告は正当な理由がなく提出しない、又は虚偽の帳簿、資料をした場合、人民法院は原告の主張と証拠により懲罰的損害賠償の計算ベースを確定することができる。なお、民事訴訟法第111条に規定の状況に該当する場合、法により法律責任を追及する。


第6条 人民法院は法により懲罰的損害賠償の倍数を確定する際に、被告の主観的な過ち、侵害情状の深刻さなどの要素を総合的に考慮すべきである。


被告が同一の侵害行為で既に行政処罰又は刑事罰金を科された、しかも執行が完了した理由で懲罰的損害賠償責任の軽減又は免除を主張する場合、人民法院はそれを支持しない。但し、前項に記載の倍数を確定する際に総合的に考慮することができる。


第7条 本解釈は2021年3月3日から施行する。最高人民法院がこれ以前に公表した関連司法解釈に本解釈と一致していないところがある場合、本解釈に準じる。

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