IPに基づいた企業調査
時間: 2014-09-29 弁理士 弁護士 調査部門長 李慧 アクセス数:

 既存競合相手が切れ間なくイノベーションをし、さらに潜在的な競合相手も引き続き参入し、業界内の競争が日々深刻化になっている環境の中、企業は、その競争の中で生き抜き、主導権を握るために、競合相手を調査分析し、相手の動向をタイムリーに把握することが肝心である。

 通常の企業調査と異なり、IPの観点からの企業調査の意義と目的は、特許とその他の情報を合わせて考慮した上で、競合相手を選別することであり、また、調査、基準設定、戦略立案及び解析などの作業を通して、競合相手のパテントマップを把握することである。例えば、コア技術の所持状況及び今後の発展傾向等の情報を把握して、経営戦略を立てることに有効なサポートとなると考える。
以下は、IPに基づいた企業調査の第一ステップ―調査すべき競合相手の選別について、紹介する。

一、依頼人情報の把握
 企業調査を始める前に、先ず依頼人のホームページ等で依頼人の主要業務、製品・技術、事業拠点、発展状況等の基本情報を調査し、十分に把握すべきである。そうすれば、製品や技術の種類に基づき、異なる分野の競合相手をそれぞれに分析することができる。また、依頼人の特許に対する予備検索を通して、パテントマップのポイントを見出し、そして依頼人のその他の情報と合わせて利用し、更に詳しい製品・技術のポートフォリオを把握することができる。
以上のように、依頼人の情報を把握してから、依頼人の属する分野を事前に調査すれば、当該分野の競争点を把握することができる。

二、競合相手の初歩的選別
 依頼人の既存競合相手が当然に調査対象となるが、特許情報と非特許情報を分析した上で、調査すべき競合相手を改めて選別することも必要である。

どのような企業が競合相手になるのか?主に、以下の各ルートをそれぞれに利用して確認できるが、各ルートを合わせて潜在的な競合相手を選別するのが更に重要である。

 特許情報による選別は一つの重要なルートである。

 まず、技術分野を分析する。所持特許が依頼人のと同じ分野に属する企業は、競合相手になると基本的に判断できる。例えば、ある分野の特許出願情報を統計して、出願件数ランキングを作成すれば、当該分野のリーダー企業及び潜在的なコア技術の持ち主を簡単に見出すことができる。

 更に、製品や詳細技術を分析する。同じ製品を有する企業の間に直接的で激しい競争関係が存在しているはずである。したがって、製品・技術をより詳しく分析し、更に細かい分野の出願ランキングを作成すれば、競合相手となる可能な企業を選別することができる。

 勿論、特許件数はただ一つの例示的な基準だけであるため、その他の基準に替えること或はその他の基準と合わせることもできる。その他の基準とは、特許登録率などである。

 特許から分析を展開する一つの利点は、市場における成熟な競合相手だけではなく、技術上の優位を持っているが、市場ではまだ成熟ではない新参入者も見出せることである。

 非特許情報による選別も不可欠である。

 特許から分析を展開し、技術分野、製品も合わせて考慮しても、完全な分析とは言えず、初歩的調査で見出した当該分野の競争点及び細かく分けられた製品における競争点等の情報に基づき、検証しなければならない。また、市場情報が初歩的調査の非常に重要な要素であり、その内、当該競合相手の市場シェアが一つの重要な基準となる。特許情報による選別した競合相手と初歩的調査で選別した競合相手との対比及び検証をした上、確実な競合相手を選別する。つまり、技術、製品及び市場の三つの要素を合わせて分析し、競合相手の選別を行うべきである。

三、競合相手の明確化
 競合相手となる全ての可能な対象を選別した後、当該当該競合相手を更に明確する必要がある。

1)競合相手の主体名称の明確化
 以上の調査・分析で選別した企業名称が代表する事業主体は競合相手の一部だけである。実践において、競合相手は、該名称が代表する事業主体の一つの支社だけである可能性もあり、該名称が代表する事業主体だけではなく、その他の買収された会社、支社、子会社、合併会社、持株会社及びR&Dセンター等も含む可能性もある。
また、場合により、競合相手の範囲が当該会社の自然人、例えば、主な指導者と技術者等まで広がる可能性がある点を注意すべきである。

 上記内容を確認する際、公式ルートにおける競合相手のM&A歴史等の情報を参考すると同時に、ビジネス用データベースの提供している競合相手のM&A歴史及び会社構造も参考する必要がある。

2)競合相手の権利範囲の明確化
 競合相手は特許を買収することにより、特許件数を増やす可能性がある。実践において、買収で得た特許が登録状態の変更により表示されることがあるが、権利者名称の変更はデータベースで表示されていないため、これらの特許を見落とさないように、主体名称だけではなく、登録状態も合わせて考慮すべきである。一方、譲渡した特許も登録状態の変更により表示される可能性があるため、登録状態を参考した上で、権利の範囲を更に明確すべきである。

 以上は、IPにおける競合相手調査の第一ステップ―競合相手の選別である。分析すべき競合相手を確定した後、当該競合相手の開発戦略及びパテントマップを分析する必要がある。この分析に基づき、当該競合相手が依頼人の利益に影響する点を明確し、適切な経営戦略を立案することができる。次回は、これらの内容について紹介する予定である。
 

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