中国マーケットにおける知的財産権のリスク
時間: 2013-11-29 李慧 アクセス数:

今日、多くの海外企業及び中国企業は中国の巨大マーケットで利益を得ることができ、中国市場が多くの発展のチャンスをもたらした。企業は未来の業績成長の希望を持って中国市場において子会社、または出張所、工場などを設立している。


中国の巨大市場と平行して、盛んに発展してきたのは知的財産権分野である。市場の開拓に伴い海外企業も中国企業も競って知的財産権の重点を中国に置きつつある。2011年中国特許の出願件数は世界一になり、各界の協力で中国の特許事業を新しい段階に押し上げている。莫大な特許出願件数の中、同様に莫大な特許権件数がある。多くの特許にはどのような権利とどのようなリスクがあるのか?これは企業が中国市場に参入する際考えるべき問題である。このような問題を解決するために、特許調査の手段を使うのが一般的である。特許調査を通じて企業自身の製品と技術案の関連権利を見つけ、さらにリスクの高さを判断することである。


具体的に言えば、企業が製品の生産または中国市場に進出する前或いはもっと早い時期に中国の侵害防止調査(clearance search)をし、当該製品のまたは技術案が他人の特許を侵害しているか否かを判断すべきである。どうやって中国の特許調査、更にはクォリティが高い権利侵害防止調査をするかを、著者が皆様に過去の案例の経験に基づいて紹介する。


(一)どうやって中国の実用新案に対応する

多くの企業は中国のデータベースを選択するとき、海外の経験に基づいてただ発明特許のデータベースを選ぶケースが多いが、実用新案のデータベースは調査の範囲として考えてないのがほとんどである。しかしながら、実用新案のデータベースの見逃しは調査の始める前に作業の一部が欠けていると考える。中国の実用新案の特著は審査が容易で、短期間であるため、大量の実用新案が存在することである。多くの人々はこの実用新案の中には大部分が使えない権利と認識するが、「正泰」と「シュナイター」の訴訟案は実用新案権により莫大な賠償額が生じた事を勘案すると実用新案を無視するのは合理的ではないと考える。

以上のことを考慮して、我々は中国の権利侵害防止調査をする際、発明特許のデータベース以外、実用新案のデータベースも選択すべきである。


以前の案例の中、我々は発明データベースと実用新案データベースの調査を通じて権利侵害防止調査をした結果、実用新案の調査結果に驚くべき結果が出ることもあった。もし、権利侵害判定原則に従って判断すれば、技術と製品が実用新案の保護範囲内に入ると考える。


このような状況が多くあり、例えば実用新案の保護範囲は最大の技術範囲を含むが、明細書を見ると技術的貢献はそれほど多くないこともある。また、ある実用新案の保護範囲は当業者が見る限り従来技術であるケースもよくある。そのほか、ある一部分は現有技術の既存の特許で保護されているかどうかは一時的判断が付かないケースもある。また、ある一部分は本当の意味上の「小発明」であるケースもよくある。


以前の案例の中、一つの権利侵害防止調査でより多く、早く実用新案のリスクを排除させるため、我々は通常、調査範囲を有効な特許データベースから各登録状態の特許データベースに範囲を広める。このような調査以降、調査結果を確認すると、我々はよく実用新案の保護技術案と同一の技術案を見ることができ、無効な関連発明はすでに公開されている場合がある。このような方式を通じて、我々はどうやって対応すべき障害となる権利について重点的に考える量を減らすことができる。


このような方法を通じて最後に考えられる方法として、無効証拠の調査により権利の安定性を判断しなければならない実用新案の量を減らすことによって、コストダウンができ、企業の製品または技術案を変更する必要があるかどうか確認することができる。


(二)どうやって製品の技術選択を考えるか

製品は多く部品と技術案を含んでいる。ひとつの製品に関連する多くの技術点または採用する多くの技術案は、権利侵害になる可能性を持っており、技術の権利侵害は製品全体の権利侵害リスクを高める。コストコントロールとリスクコントロール面から見ると重点技術案はコストを減らし、権利侵害リスクをなるべく低くするのが最適の案であると考える。


重点技術案の選択過程中、製品分解過程があり、その中には製品の分解過程中製品を基本部品または製品からいくつの部分に分解する技術案がある。


以前の案例で、我々は顧客と共同で以下のいくつの要素を選択し、重点技術案の調査案を選択した。考慮する要素はリスクの高さと譲渡可能な程度、製品全体の重要度、技術の出所などがある。例えば契約の知的財産権条項で権利侵害リスクの責任をサプライヤーに転換させることができるので、外部で調達した部品は調査する必要がなくなる。そのほか我々は通常技術者と共に現有技術に当たる可能性について基本的な判断をする。

これらのことを踏まえると、自主開発案は一般的には調査をする重点となる。自主開発案のなか、さらに該当案の全体的な製品の重要性を考慮し、製品の性能、特性が突出している役割を果たしたかで核心技術点を調査する技術とみなす。


技術案を確定するとき、一つの部品をはいくつの技術案を生み出すことを注意する必要がある。例えば部品の生産メカニズム及び部品の構造などである。


(三)どう調査戦略を確定するか

権利侵害防止の検索戦略の設定は必ず権利侵害判定の状況を考慮しなければならない。前述のように、いかなるひとつの技術点の権利侵害は全部の製品の権利侵害になりうる。そのため、我々は調査戦略を設定する際、選択した各技術点について調査戦略を練ることが必要である。

前述のように例えば同一部品の部品の生産工程及び部品の構造について調査する際、構造と生産工程に対する調査は大きな違いがある。


調査戦略を設定するとき、外国の出願人の中国特許技術専門用語の表現方法、中国本土で提出された特許の表現方法及びIPCを考慮しなければならない。


我々は海外出願人の中国特許技術専門用語の技術表現を設定する時、通常請求項の中に上位概念及びこれらの上位概念についての異なる翻訳法を見つけることがある。これらの表現は時に我々の目標としている具体的な技術専門用語と関係を連携づけるのは難しい場合もある。そのため、調査戦略を確定するとき、明細書の中でこのような技術用語に具体的な限定を探す必要がある。この作業によって、我々が請求項の中のいくつの上位概念の組合せと図面を結び付けてやっと理解できる特許を見つけ出すことができる。実際の案例の中、このような現状はよく目にする。これ以外に明細書の中の技術問題と機能などの専門用語も非常に重要なことであり、この部分の内容を調査することで、補助的且つ明確的に導く機能を果たすことになり、同じ問題を解決する又は、同じ機能を実現するファミリー特許を検索することができる。


我々が国内出願人の中国特許の技術的表現を設定する際、通常もう一つの点、即ち記載する技術用語が規範的な技術的用語ではなく、通常の技術的用語の表現と異なることに注意をはらう必要がある。この際、調査結果を閲覧することで、規範的な技術的用語を探し出すことも重要である。


IPCの使用は我々に明確な方向性を示すことができる。技術テーマに対応する正確な分類番号で一組の特許を探すことができる。もし、調査が必要な関連調査案に明確なサブグループがある場合、このサブグループを閲覧することで検索の漏れを防ぐことができる。


権利侵害防止調査過程中、重要なのはデータの完全性を確保することである。その一方IPCとキーワードはお互い補充する必要がある。また、校正するステップを設置することで、調査の策略が完全であるかどうかについて確認することができる。校正方法は一般的にはある競争対象を定め、関連特許の選別することである。その一方、調査戦略から見て関連特許が現れるのかを見ることである。


(四)選別基準の確定について

選別には初期選別と精選の二つのステップがある。


初期選別は要約と要約の図面によって、明らかに関連性が低い特許を除去することである。侵害防止調査の目的は請求項に関連内容のある特許を探し出すことであるため、明らかに関連性が低い特許を除去してから、請求項を閲覧し法的障害がある特許を選別する必要がある。これは精選ということである。


初期選別された特許は侵害防止調査の選別基準で精選すべきで、侵害判定の原則、オールエレメント原則及び均等論に基づいて、選別基準を確定すべきである。オールエレメント原則が適用される状況は二つあり、検索する予定の技術特徴が、検索できた有効特許の請求項の技術特徴と完全に一致する場合、オールエレメント原則で侵害に判断されるリスクが存在する。又は、検索する予定の技術特徴が、検索できた有効特許の請求項の保護範囲にカバーされている場合、オールエレメント原則で侵害に判断されるリスクが存在する。よって、この二種類の特許を探し出す必要がある。また、検索する予定の技術特徴が検索できた有効特許の請求項にある技術特徴の一部と同じである場合、均等論が適用できるため、この部分の特許も選別して、侵害可能性の有無を判断すべきである。


以上のポイントを抑えながら、製品の製造及び中国市場に進出する前に、リスクを低減するため、侵害防止調査を行うのは非常に重要なことである。侵害防止調査をすることによって、具体的な製品についての中国における大量な特許に潜むリスクを把握することができ、予備的な措置及び事前準備をすることができると考える。

 

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