欧州異議申立における証拠としての「中国特許」の活用
康信事務所の特許調査チームがある欧州企業の依頼を受けて、欧州特許の異議申立の証拠として中国特許の調査を行った。
調査チームは先ず、本依頼案件が属している技術分野について新規性に関する文献の検索を行ったが、該当権利請求の新規性を破壊する文献は見付からなかった。続いて、創造性に関する文献を検索しようと考え、本案件の属する技術分野だけでなく、類似する技術分野に対しても検索を行い、本案件の創造性を評価できる特許文献を見付けた。
本案件及びその他の「中国特許」証拠に対する成功検索案例から見ると、①中国における特許出願、特に実用新案の出願件数が非常に多いため、多数の関連特許が隠されている可能性がある。②中国出願人からのPCT出願或は海外出願などの ファミリーパテントが少ないため、海外の特許データベースだけで異議申立或は無効の証拠を検索するのは漏れが生じる可能性がある。③中国出願人は具体的な数値範囲或は寸法などの情報を明細書に記載することがあるため、これらの情報は、無効審判或は個々のクレームの異議申立する際に役立つ可能性がある。以上の理由から見ると、少なくともある特定な技術分野では、「中国特許」証拠の収集が必要になる。