事前に特許権安定性分析を行う必要性は?
時間: 2023-06-30 王昱 宋鳴鏑 アクセス数:

 2022年12月に、国家知識産権局が発表した「2022年中国特許調査報告書」によると、侵害紛争に遭遇した場合、ほとんどの特許権者は侵害訴訟を提起することを選択することが示された。なお、特許権安定性の分析は、訴訟への道における不可欠な一環であると思われる。

 

 侵害紛争に遭遇したときに「慌てて」を回避するよう、現実上、益々多くの企業は、主要特許権の安定性分析をなるべく早く行い、自社特許の安定性を把握した上、自社特許の「身上調書」を確立するようにしている。


 特許権安定性分析レポートは顧客のニーズに応じてカスタマイズできる。実体内容は主に次の6点を含む。

 

①  発明または実用新案は、「特許法」第 22 条の新規性、進歩性および有用性に関する規定に適合しているか否か。

②  意匠は、特許法第 23 条の規定に適合しているか否か。

③  発明又は実用新案は、明細書が明確かつ完全でなければならないという「特許法」第 26 条第 3 項の規定に適合しているか否か。

④  発明又は実用新案は、請求項が明細書にサポートされており、明確且つ簡潔であるという「特許法」第 26 条第 4 項の規定に適合しているか否か。

⑤  意匠は、図面又は写真等が製品の外観設計を明らかに示さなければならないという「特許法」第 27 条第 2 項の規定に適合しているか否か。

⑥  発明又は実用新案は、独立請求項に必要な技術的特徴をすべて記載しなければならないという「特許法実施細則」第 20 条第 2 項の規定に適合しているか否か。


 上記の実体内容は、特許無効審判でよく使われる条項であるため、特許権安定性分析の重要性は自明的であろう。


 具体的には、企業がなるべく早く特許権安定性の分析を行ったほうが良い主な理由は次の通りである。

 

1.適切な訴訟戦略を事前に策定することができる

 特許権の安定性が高くない場合、企業は権利侵害に遭遇する場合に訴訟をていきするか否かを事前に検討し適切な対応案を策定することができる。このように、弁護士費用など、侵害を阻止するためのコストを効果的に削減できる。

 

2. 特許権維持のコストを削減することができる

 特許権の安定性分析により安定性の低い特許権を正確に特定し、適時に年金の納付を中止することで、特許権維持コストを削減することができる。これは、膨大な実用新案と意匠を保有する企業にとって特に重要である。


3. 特許取引の信頼性を高めることができる

 「2022年中国特許調査報告」の調査結果によると、2022年の我が国における特許移転・転化が全体的に着実に増加しており、特に発明特許の移転と転化に関連するデータの伸びが最も著しい。事前に特許安定性分析を行えば、特許購入者またはライセンシーに取引の対象特許をより具体的に理解させ、取引の信頼性を高めることができる。


4.  特許出願戦略の策定に役立つ

企業が特許出願戦略を策定する際、異なる時点で技術の異なる重点と応用に合わせて特許出願を行う。また、企業が既に登録された特許権に対する安定性分析を行う場合、一部の関連する先行技術情報を間接的に入手することができる。もし、上記関連する先行技術は競合他社の技術であり、しかもその特許の公開日が企業の技術開発日に近い場合、企業にとって、それらの先行技術は技術情報と開発上の示唆として今後の出願戦略の策定において参考することができる。


5. 企業の技術者の総合的な資質の向上に積極的な刺激効果を発揮する

 特許権安定性分析レポートは、特許に関する総合的な物理的調査であるため、第一線の技術者に最も直観的な特許知識を提供し、技術者が技術の研究開発や発明提案書の作成を行う際に業界の全体的な状況からスタートするのに役立つ。さらに、技術者に企業のその他の知的財産権業務(例えば、先行技術調査、FTO調査、特許マップ分析、特許発掘など)をより深く理解させ、生産ラインの各段階の作業を了解させることができる。

 

 現実上、上記の「外部」作用のほか、特許権安定性分析は、「潜在」効果も生む。総じて言えば、企業は、なるべく早く特許権安定性分析を知的財産権管理の重要な一環に設定した方が良いと思われる。


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