無効資料調査の要点まとめ
時間: 2021-01-28 胡一村 劉磊 アクセス数:

通常、特許無効資料調査は、特許登録後、権利侵害と訴えられた一方が無効審判において相手の特許の新規性と進歩性を否定するために行う調査、或は、特許権者が特許権侵害訴訟の前に自社特許権の安定性を確認するために行う調査、及び最終的に有力な無効証拠又は最も近い先行技術を入手する過程を指す。


無効資料調査において、有力な無効証拠を入手するために全ての手段を使い果たす必要があるので、非常に時間が掛かる。なお、調査の要点を押さえれば、調査効率を向上させることができると思われる。


一、調査前の必要な準備作業


調査に先立って、少なくとも次の2点を確認する必要がある。1.調査期間を限定するために、先ず、調査対象特許の出願日又は優先権日を確認する。2.調査要素を作成するためのキーワードとIPCをより精確に確定するために、調査対象特許の技術案を確認する。


二、調査中のポイント

 

1.特許調査

実践において、特許無効審判で使用する証拠は特許調査により入手する。なお、調査方法から見ると、特許調査はクイック調査と基本調査の2種類がある。クイック調査とは、特定な調査スキルを使用して快速に調査結果を入手する調査である。クイック調査では、調査効率が非常高い可能性もあるが、何の有用な資料も入手できない可能性もある。一方、基本調査とは、対象特許の技術的特徴に基づいて検索式を作成して全面的に行う調査である。基本調査では、精確で全面的な調査結果を入手できるが、通常時間が掛かる。したがって、実際の調査作業において、全面的で精確な調査結果を入手できると共に、調査効率も高くするために、二つの調査方法を組合わせて調査する場合もある。


1)クイック調査

対象特許の出願審査包袋又は無効審判の審査包袋と、ファミリー特許の出願審査包袋、無効審判の審査包袋、及びそれらの引証文献を調査し、また権利者及びその競合相手の先行出願と関連特許などを読み込むことにより、対象特許の背景技術、ファミリー特許、審査官が引用した文献、権利者により特定したクレームの保護範囲、権利者がOA応答時の技術資料、先行の訴訟における原告提出の証拠文献、競合相手の技術資料などの情報を入手する。そして、これらの技術文献と対象特許の技術とが関連度が非常に高い場合、簡単に閲覧してその技術文献が目標証拠として使用できるか否かを判断する。


2)基本検索

先ず、検索要素を作成して初歩的に調査する。対象特許の請求項に記載されている技術点と技術的効果に係わるキーワード(この段階での目的は、主に調査の手掛かりをつかむことであるため、キーワードがそれほど精確でなくても良い)とIPCをピックアップしてから、初歩的に調査する。その後、調査で入手した関連特許からキーワード、IPC、及び重要な特許権利者を抽出する。


そして、調査要素を追加して再度に調査することで調査要素を補足する。初歩的調査で入手した情報を元の検索要素表に追加する(なるべく複数の検索要素を含むIPCを選択し、またキーワードと特許権者を追加することで検索要素表を補足する)。その後、再度に調査することにより、対象特許の技術内容に対する理解をより深め、最も精確なキーワードとIPCをピックアップし、関連度が最も高い特許権者の情報を確認する。次に、これらの情報を検索要素表に記入する。


最後に、キーワード、IPC、及び特許権者を組み合わせて、全面的な検索式を作成する。無効証拠調査の目的は有力な無効証拠を入手することであるため、調査の正確度がより高くする必要があるが、広くカバーして調査する必要はない。したがって、無効証拠調査において、具体的な技術状況により、調査範囲を少しずつ広げるべきである。


例えば、構造、機能、及び効果の表現が基本的に同じな文献を入手しようとする場合、キーワードのみで検索式を作成する。応用分野と機能とが一致した文献を入手しようとする場合、IPCのみで検索式を作成する。同一の応用分野で同一の技術テーマ又は構造を有する文献を入手しようとする場合、キーワードとIPCとを組合わせて検索式を作成する。競合相手の技術の関連度が非常に高いため、方向性が比較的に明確な文献を入手しようとする場合、特許権者のみで、或は、特許権者とキーワード又はIPCとを組合わせて検索式を作成する。


2.非特許文献調査

非特許文献調査は、特許無効審判における特許調査の重要な補足手段である。通常、検索エンジン、刊行物/論文、ECサイト、技術書籍などでの調査を含む。

 

その中、検索エンジンでの調査は、技術情報以外に、商業情報なども調査することができる。したがって、検索エンジンで調査すると、特許の技術分野と当業界の基本情報を入手するとともに、当業界の主な参与者、主な技術の所在国家又は地域、主な研究開発機構なども把握することができる。


刊行物/論文、ECサイトは高度に専門化した情報源である。これらの情報源で検索する方法は、いずれもキーワードを使用して電子データの形で検索する。そのメリットとして、これらの情報源の表現形式が技術者の一般の表現形式と基本的に同じであるため、技術者にとって、知網、万方、維普、Web of science、Google Scholarなどで関連文献を検索すること、又は、ECサイトで取引情報を収集することは、比較的に容易であると思われる。

 

技術書籍は、技術内容が系統的であるため、技術常識・慣用技術の証拠及び具体的な応用の証拠として、証明力がより高いと思われる。更に、初期の技術書籍にまだ電子化されていないものも多くあるので、技術書籍の検索は無効資料調査の重要な補足手段として特に必要である。実際の調査において、超星図書館などのオンライン図書館を選択しても良く、実体の図書館を選択しても良い。但し、図書館に系統的な分類索引がないため、検索の難度が高く、しかも時間が掛かる。


三、無効証拠の確定

先ず、上記の特許調査と非特許文献調査で入手した関連がある証拠を全て候補証拠に入れる。そして、内容を詳しく読み込んだ後、主要無効証拠として対象特許の技術案全体と関連度が最も高い証拠を抽出し、また補助無効証拠として一部の技術的特徴と関連がある証拠を抽出する。最後に、対象特許を全て無効、又は一部無効にする、或は最も近い先行技術を確定するために、全体から総合的に考慮し、これらの証拠の異なる組み合わせにより対象特許の技術案をカバーする。


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