中国で意匠出願する際の図面修正について
時間: 2019-09-12 王俠 アクセス数:

 意匠は無形資産として巨大な商業価値がある。近年、益々多くの国際企業が自社の市場競争力を向上させるために、中国で意匠を出願した。一般的に、これらの意匠出願が国外優先権が必要である。

 

 筆者はこのような意匠出願を取り扱った実務において、よく問い合わせられている質問は、図面が中国特許法の規定を満たしているかということである。本文においては、出願人が一番注目している線で図面を描く場合のよくある問題をまとめて説明する。

 

 まず、中国専利審査指南の第一部分第三章第4.2.2節の規定により、意匠の図面では太さが均一である実線で意匠の形状を示さなければならなく、影線、指示線、点線、中心線、寸法線、鎖線などの線で意匠の形状を示してはならない。本文においては、上記規定を満たさない線を破線(broken lines)と称する。

 

 意匠出願人が提供した図面には、主に以下のような問題が存在する。これらの問題について、それぞれの解決案を提出する。


1.新規出願に先立って、図面における破線を削除する。

 図面に破線があり、しかもその破線が実際に存在する物理的特徴を表示するためではなく、ただ図面の立体感を強めるためである場合、例えば、図面に影線(shadow line)、過渡線のようなものがある場合、意匠出願人は新規出願する際に、補正を回避して審査機関を短縮するためにこれらの中断線を削除したほうが良い。


 下図の事例で説明すると、AとBが示す影線はただ製品の立体感を強調するためであるので、削除したほうが良い。なお、このような削除は設計自体に影響しない。

图片1.jpg

2.新規出願に先立って、図面にある中断線を実線に修正する。

 詳細は、下記の事例で示す。

图片2.jpg

3.新規出願に先立って、点線がある図面を修正せずに提出する

 図面に破線、例えば点線があり、また意匠出願人がそれらの点線が表示している特徴が物理的特徴であると判断したが、前記物理的特徴が製品の必須特徴であるか否かを確認できない場合、意匠出願人は図面を修正せずに提出することを考えられる。

 

 点線がある図面は中国特許法の規定を満たさないのに、なぜ修正せずに提出するのか?

 

 中国特許局は、出願日以降の修正に対する要求が非常に厳しく、出願日以降の如何なる修正も新規出願の際に提出した図面(優先権書類の図面ではない)に記載の内容に基づかなければならないからである。具体的に言えば、新規出願の際に提出した図面に点線がある場合、一般的に、審査官は出願人が


 後日に図面にある点線を実線に修正すること、又は点線を削除することを認められる。また、意匠出願人は出願日から2ヶ月以内に意匠出願の図面に対して自発補正を行うことができる。

 

 逆に、意匠出願人は、新規出願の時に既に点線を削除した場合、後日に自発的に削除された点線を改めて加入しようとしても、或は審査官からの製品に機能を実現するための必須特徴が欠けているという審査意見により削除された点線を改めて加入しようとしても、その「改めて加入すること」が新規事項追加となり、認めれらない。特に、審査官が製品に機能を実現するための必須特徴が欠けていると認定した場合、如何なる追加特徴(優先権書類にあるが、新規出願の際に削除された特徴も含む)も新規事項と認定される虞がある。この場合は、意匠出願人は補正の機会を喪失してしまい、抗弁により審査意見に応答するしかない。

 

 一方、意匠出願人は、新規出願の際に既に図面にある点線を実線に修正した場合、後日にこれらの実線が表示している特徴が必須特徴ではないと判断し、削除しようとしても、その「削除」も新規事項追加となり、認められない。

 

 上記内容について、次の事例で改めて説明する。下記の左図はロボットを示めしている。右図は左図に示すロボットの主体を示している。新規出願の際に、意匠出願人は優先権書類の図面と同じであり、点線がある左図を提出したが、その後審査意見に応答する際に点線を削除して、ロボットの主体を示す実線だけを保留した。ロボットの主体は独立で製造、販売できるため、中国意匠として保護される主体に属する。よって、最終的に、当該意匠出願は授権された。簡単に言えば、意匠出願人は新規出願の際に点線を削除せずに、左図を提出したため、その後、点線を実線に修正しても、削除してもよい。なお、前提としては、ロボットの主体が独立で製造、販売できることである。

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 上記で紹介したロボット事例の優先権はある国外の意匠である。米国、EU、日本及び韓国などの国では、部分的な意匠制度がある。中国では部分的な意匠制度がまだ制定されていないが、他の国で提出した部分的な意匠出願に関わる製品は独立で製造、販売できるものであれば、中国においても意匠の保護客体に属する。よって、外国出願人が我国で意匠を出願し、また外国の部分的な意匠出願の優先権を請求する場合、上記3の方法で出願を提出したほうが、出願人にとってより有利であると思う。

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