日中両国における一出願多区分と商標分割の相違点
時間: 2019-07-30 アクセス数:

 従来、中国においても、日本においても、一出願一区分しかできなかった。

手続と費用において出願人に便宜を提供できるよう、日本は1997年4月1日から、中国は2014年5月1日から、商標出願の際に1つの出願で複数の区分を指定できるように変更した。

一出願多区分制の採用により、出願の手続き、及び登録された場合の更新管理は簡単となり、便利になったというメリットがあるが、いろいろなデメリットもある。

 

 ここで、日中両国の一出願多区分制度の相違点について紹介する。


‐庁費用

 中国においては、区分数により庁費用を取るため、一出願一区分でも一出願多区分でも、庁費用が変わらない。

日本においては、追加区分の庁費用は初期費用より安いため、一出願一区分より、一出願多区分のほうが出願料が低い。


‐拒絶リスク

 中国においては、一出願多区分の拒絶リスクは一出願一区分とは同じである。

日本においては、一部の指定商品又は指定役務に拒絶理由があり、且つ、その拒絶理由が解除できないと判断される場合、残りの拒絶理由の無い部分も含めて拒絶されてしまうことがある。

 

‐商標出願の分割

 商標出願の分割は、拒絶理由の無い指定商品・指定役務の早期権利化を図るために用いられたものである。日中両国はいずれも分割制度を導入したが、提出の時点などに相違がある。


1) 提出の時点

 中国においては、一部拒絶理由通知書が発行された場合、商標法実施条例第22条の規定により、通知書の受領日から起算して15日以内に分割出願を行うことが可能である。

 上述状況以外は、分割出願を行うことが不可である。例えば、異議申立を受けた場合や譲渡の場合、自主的に分割することができない。従って、一出願多区分制度は、現時点で使用しにくいと言われているが、今後も引き続き改善されることにより、益々便利な制度になれると思われる。

 日本においては、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合、又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが審判所に係属している場合に限り、商標登録出願の分割が可能である。

 また、商標権の移転においても、その指定商品・指定役務が二つ以上あるとき、指定商品又は、指定役務ごとに分割することが可能である。


2) 商標出願分割の対象

 中国においては、一部拒絶理由通知書が発行された場合、拒絶理由の無い指定商品又は指定役務に対して分割出願を行う。拒絶理由のある指定商品又は指定役務が不服審判手続きにより不服審判段階に入る。

 また、拒絶査定に対する不服審判請求を希望しない場合、分割出願を行う必要はない。即ち、不服審判請求を放棄した場合、拒絶理由の無い指定商品又は指定役務がそのまま公告されることになる。

 日本において、拒絶理由のある指定商品又は指定役務に対して分割出願を行う。即ち、拒絶理由のある指定商品又は指定役務の権利化を求めるために、元の出願から拒絶理由のある指定商品又は指定役務を削除し、また削除した指定商品又は指定役務に対して別途分割出願を行う。

 また、分割出願を行う際には、親出願について分割に係る指定商品又は指定役務を削除する補正を行う必要がある。


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