「商標が顕著な特徴がない文字と図形により構成される場合」の審査基準の変更
時間: 2022-07-14 劉璐璐 アクセス数:

商標が顕著な特徴がない文字と顕著な特徴がある図形より構成される場合、以前は商標全体が顕著な特徴があると認定され、登録することができます。しかし、2022年1月の『商標審査審理ガイドライン』の実施とともに、このような商標は、商標全体が顕著な特徴がないと認定されることになりました。このような変化はなぜ起こっているのでしょうか?今回の記事では、中国における「商標が顕著な特徴がない文字と図形により構成される場合」の審査基準の変更、及び変更の理由を紹介いたします。


変更前と変更後の審査基準

変更前

2016年の『商標審査審理基準』:商標が顕著な特徴がない標識とその他の要素により構成されるが、関連公衆がその他の要素又は商標全体を通じて商品又は役務の出所を識別しがたい場合、やはり顕著な特徴がないと見なされる。ただし、当該その他の要素又は商標全体が商品又は役務の出所を識別する役割を果たせるものは除く。


全体が顕著な特徴がある例:

商标1.jpg商标2.jpg

変更後

2022年の『商標審査審理ガイドライン』:商標が単独の文字部分と単独のほかの要素により構成される場合、文字部分が顕著な特徴がないと見なされると、商標全体が顕著な特徴がないと認定される。


全体が顕著な特徴がない例:

商标1.jpg商标2.jpg

審査基準変更の理由

国家知識産権局によると、上記審査基準の変更の理由は3つあります。


①図形部分と文字部分はそれぞれ独立して構成され、図形部分は一定の顕著な特徴があるが、文字部分は顕著な特徴がない商標は、その図形部分が顕著な特徴があるだけで直接的に顕著な特徴を備えていると認定するという認定方式は、商標の顕著性全体認定の原則と矛盾し、かつ商標権保護の範囲のあいまい化を招きやすい。


②実務上、一部の商標登録人がこのような商標を利用して電子商取引プラットフォーム上で恐喝したり、悪意のある権利侵害の苦情を起こしたりしている。


③このような認定基準は現在の商標の権利授与・権利確定の実践と一致していない。関連商標の行政または司法判例において、一般的に、商標が文字と図形より構成されるとき、文字部分が商標の主要な呼出部分であり、文字部分が顕著な特徴がない場合、商標全体は顕著な特徴がないと認定すべきであると認める。


まとめ

「商標が顕著な特徴がない文字と図形により構成される場合」の審査基準に関して、2022年の『商標審査審理ガイドライン』には「ほかの要素は強い顕著な特徴がある場合、商標登録部門は当該要素に基づいて商品またはサービスの出所を区別する可能性があると判断した場合、審査意見書を発行し、出願人に顕著な特徴がない文字部分に対して専用権を放棄するよう要求することができる」も規定しているが、総じて言えば、中国において、顕著な特徴がない文字と図形により構成される商標の登録の可能性が低いうえ、このような商標がたとえ登録されたとしても顕著な特徴がない文字に基づく権利行使は不可能のため、出願自体はあまりお勧め致しません。



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