技術秘密保持措置の認定について
時間: 2022-06-30 アクセス数:

——(2020)最高法知民終538号


【裁判要旨】

技術秘密が市場の流通製品を媒体とする。権利者が製品にラベルを貼ることにより、技術秘密を一方的に宣言し、契約上の秘密保持義務を負わない第三者による製品の解体を禁止することは、不正競争防止法に規定の秘密保持措置にならない。

【キーワード】

技術秘密侵害秘密保持措置

 

【案件経緯】

上訴人の済南思克測試技術有限公司(以下、思克公司)と被上訴人の済南蘭光機電技術有限公司(以下、蘭光公司)との技術秘密侵害紛争案件において、思克公司は、自社開発・製造したGTR-7001ガス透過率測定機に公衆に知られていない技術秘密が含まれており、蘭光公司が悪意によって訴訟を提起し、別件の保全手続きにより自社の上記技術秘密を、不法な手段で取得してから、蘭光公司の製品に使用したという理由で、山東省済南市中級人民法院(以下、一審法院)に提訴し、蘭光公司に自社の技術秘密への侵害を停止し、不法な手段で取得した自社の技術秘密に関わる写真、ビデオなどの資料を破壊し、またその影響を排除するよう思克公司に謝罪するよう命じることを請求した。

一審法院は、「思克公司が保護を求めるその技術情報に対して、如何なる守秘措置も取らなかったため、当該技術情報が『中華人民共和国不正競争防止法』(以下、不正競争防止法)に規定の商業秘密に該当しない」と認定し、思克公司の訴訟請求を却下した。

 

その後、思克公司が不服として、最高人民法院に上訴し、自社が当該技術秘密に対して「対内」「対外」の両方の合理的な秘密保持措置を取っていると主張した。

 

その中、「対内の秘密保持措置」として、社員と秘密保持条項を含む「労働契約」及び「企業とスタッフとの秘密保持契約」を締結しているとともに、「会社秘密保持管理制度」を実施し、開発の工場、工房、設備などにドアロックを取り付け、訪問者の立ち入り、見学を制限し、写真やビデオの撮影を禁止するなど。また、「対外の秘密保持措置」として、顧客と締結した装置販売契約に秘密保持の条項が含めれており、販売した装置に無断解体禁止の外せないラベルを貼り、秘密保持要求を含む製品仕様書も付いているなど。


しかし、最高人民法院は2020年12月14日に上訴を却下し、原審判決を維持するという判決を下した。

 

【裁判意見】

最高人民法院は二審において、思克公司主張の「対外の秘密保持措置」が契約相手を拘束する効力をゆうするが、特定されていない第三者に対して効力がない、又は、思克公司の秘密保持の意思を表していないため、不正競争防止法に規定の「対応する秘密保持措置」に該当しない。と認定した。

 

思克公司が、顧客と締結した「装置販売契約」に、「GTR-7001ガス透過率測定機の譲渡は、顧客に当該製品に対する知的財産権を譲渡することではない。また、顧客が、当該製品の技術秘密情報の安全を確保する義務及び第三者に開示しない義務を負うものとする」という約定があるが、当該約定は、顧客のみに対して効力があり、契約以外の第三者に対して効力がない。


また、「装置販売契約」に、顧客の購買した製品に対する処置、譲渡を制限していないため、第三者が市場で当該製品を入手することができ、しかも思克公司と顧客との間の契約に拘束されない。

 

更に、思克公司がGTR-7001ガス透過率測定機の特定位置に、「危険!無断で解体すると担保が無効になる!」、「SYSTESTER思克品質保証、外すと無効になる」などのラベルを貼っているが、それらのラベルは安全性の警告と製品メンテナンス担保の明示であり、いずれも秘密保持措置にならない。

 

よって、思克公司の主張した「対外秘密保持措置」が不正競争防止法に規定の「対応する秘密保持措置」に該当しない。


出所:最高人民法院知的財産権法廷

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