通用名称を含む商標は商標法第10条第1項第7号の規定に該当するか?
時間: 2022-01-04 劉璐璐 アクセス数:

日常生活の中で、BURGER KING、雀巢咖啡(「咖啡」は「コーヒー」の意味)のような、通用名称を含む商標が多数存在しています。その商標権者が、使用の慣性のため、或いはメイン商品を際立せたいのため、通用名称を商標に入れました。通用名称を含む商標はその通用名称が指す商品について使用する場合、もちろん誤認の恐れがなく、商標法第10条第1項第7号の規定に該当しませんが、通用名称が指す商品に関連性がある商品について使用する場合はどうでしょうか?今回は、通用名称を含む商標はその通用名称が指す商品に業界的な関連性がある商品について使用する場合に商標法第10条第1項第7号の規定に該当するかどうかに関して判断が示された近年の判決を紹介します。


事件1

1641280455551.png


事件概要

本事件は商標法第10条第1項第7号違反を理由として下された拒絶査定、拒絶査定不服審判決定の取消を求めた行政訴訟事件である。係争商標は中国語「麦咖啡」から構成され、「咖啡」は「コーヒー」の意味である。指定商品は32類の果実飲料;ジンジャーエール;炭酸水;アルコール分を含まない飲料;ミルクティーなどである。


一審では商標法第10条第1項第7号の規定違反に該当すると認定され、二審においても一審の認定を維持する見解が示された。

 

北京知識産権法院(一審)の見解

商標法第10条1項7号「欺瞞性を帯び、公衆に商品の品質等の特徴又は産地について誤認を生じさせやすい標章は、商標として使用してはならない」と規定されている。本件では、係争商標は使用商品について使用すると、関連公衆に商品の品質などの特徴に対し誤認を生じさせやすくて、商標法第10条第1項第7号の規定に該当する。

 

北京市高級人民法院(二審)の見解

係争商標の標識が商標法第10条第1項第7号の規定に該当するかを判断するにあたっては、公衆の普遍的な認知レベルと認知能力を出発点とし、当該標識の指定商品と結び付けて、当該標識が伝達する意味が指定商品の品質、機能、用途、原材料などの特徴または産地と一致しないか又は完全に一致しないかどうか、そして当該標識自体が持つ欺瞞性が公衆に商品の特徴又は産地について誤った認識を生じさせるのに十分かどうかを判断しなければならない。また、係争商標は様々な意味があり、そのうちの一つの意味は商標法第10条第1項第7号の規定に該当する場合、係争商標がこの規定に違反すると認定することができる。


本件では、係争商標は文字「麦咖啡」から構成される。「咖啡」は商標の構成要素として、「果実飲料;ジンジャーエール;炭酸水;アルコール分を含まない飲料;ミルクティー」など商品について使用すると、公衆の通常の認知レベルに基づいて、前記商品がコーヒー飲料であるか、コーヒー成分を含んでいるか、コーヒー風味のものであると公衆に認識させやすくて、さらに商品の原材料、機能、品質などの特徴について誤認を生じさせる。係争商標の標識は商標法第10条第1項第7号の規定に該当する。


事件2

1641280325910.png


事件概要

本事件も上記事件1と同様、商標法第10条第1項第7号違反を理由として下された拒絶査定、拒絶査定不服審判決定の取消を求めた行政訴訟事件である。係争商標は中国語「盛世经典牛排」、英文「SSJD STEAK BUFFET」及び図形から構成されるもので、中国語の「牛排」は「ビーフ」の意味である。指定商品は第29類のハム;肉の缶詰;冷凍加工をした肉などで、ビーフは指定されていない。

一審では請求人の反論理由が認められ、商標法第10条第1項第7号の規定に該当しないと認定されたが、二審では一審の結論が覆され、商標法第10条第1項第7号の規定に該当すると認定された。

 

北京市高級人民法院(二審)の見解

出願する商標は「欺瞞性を帯び」というのは、当該標識に含まれる文字、図形などは出願する商標に使用される商品の品質、主要原材料、機能、用途又は産地などの面での真相を隠し、公衆に商品の真相に対し誤った認識を生じさせることを含む。


本件では、係争商標は中国語「盛世经典牛排」、英文「SSJD STEAK BUFFET」及び図形より構成されるものである。そのうち、「牛排」は一般的に塊状の牛肉を指す。一方、係争商標は「フルーツサラダ;冷凍加工をしたポテトチップス;ミルク;肉のでんぷ;加工したシーフード;バター」を指定しているが、前記商品の主要原材料と一致せず、関連公衆に関連商品の原材料について誤認を生じさせやすい。もう一方、「ハム;肉の缶詰;冷凍加工をした肉;フルーツサラダ;保存加工をした肉」の主要原材料は牛肉のほか、豚肉、羊肉などのその他の食用肉もあり、もし係争商標は非牛肉原材料の前記商品について使用される場合、関連公衆に関連商品の原材料について誤認を生じさせやすい。よって、係争商標は商標法第10条第1項第7号の規定に該当する。

 

弊所コメント

上記の判決から、司法機関が、通用名称を含む商標はその通用名称が指す商品に業界的な関連性がある商品について使用する場合に、商標法第10条第1項第7号の規定に該当する、という判断になることが分かります。


裁判所の見解によれば、商標法第10条第1項第7号の規定に該当するかを判断するにあたっては、公衆の普遍的な認知レベルと認知能力から出発し、商標とその指定商品とを結び付けて判断しなければなりません。通用名称を含む商標がその通用名称が指す商品に業界的な関連性がある商品について使用する場合、公衆の通常の認知レベルと認知能力に基づいて、商品の内容について誤認を生じる可能性は高くないが、商標に含まれる通用名称と指定商品の間の業界的な関連性により、商品の原材料、機能、風味、品質などの特徴について誤認を生じる可能性があります。また、商標名称が商品の実際の特徴やサービス提供者の経営特徴と異なっており、明示的若しくは暗示的に商品の品質、産地等と合わない文字が商標の中に入っており、これにより、出願人自身に欺瞞の意図があるかどうかを問わずその客観的な結果から消費者に誤認を生じさせる恐れがあり、消費者の知る権利を侵害すれば、商標法第10条第1項第7号に規定している欺瞞性のある商標に該当すると判断される可能性は高いです。


通用名称を含む商標を使用すれば、経営範囲が拡大される場合、又は防衛出願を行う場合に、商標権を取得できない可能性があり、経営に不利益を与える可能性がありますので、商標を考案、出願する際に、通用名称を含まないことをおすすめいたします。


返回顶部图标