中国税関による知的財産権保護には、「権利者の申請による保護」と「職権による保護」の二つの種類があります。
「権利者の申請による保護」とは、権利者が権利侵害容疑貨物が輸出入されようとしている際に、税関に保護措置を申請し、税関はその申請に基づいて権利侵害容疑貨物に対し通関を中止し一時的に差し押さえるて手続を行うことです。税関は調査認定の責任を負わず、貨物の一時的な差押の協力の責任を負うだけです。
「職権による保護」とは、税関が輸出入貨物の監督管理過程において発見した、事前に税関に登録されている知的財産権を侵害する疑いがある輸出入貨物に対し、主体的に差押や調査、処分を行うことです。職権による保護を受けるために、知的財産権権利者は事前に自らの知的財産権を中国税関で登録しなければなりません。ここで中国税関登録について紹介いたします。
1、税関登録ができる権利
(1)商標権
(2)著作権及び著作権に関わる権利
(3)特許権(実用新案を含む)
(4)意匠権
2、税関登録手続の注意点
(1)初めて税関登録手続を行う場合、知的財産権税関保護登録システムでのアカウント開設が必要である。
(2) 税関アカウント開設から登録まで2~3ヶ月を要する。税関で監視される期間は、知的財産権の権利満了日まで有効である。
(3)税関へのホワイトの提供は、税関登録申請を行う際に提供することができ、税関登録が許可された後に追加で提供することもできる。
3、登録後、税関が権利侵害容疑貨物を発見した場合の手順
(1)税関が貨物通関を中止し、書面で権利者に通知する
(2)権利者が税関に権利侵害容疑貨物の差押を要求する場合、通知の送達日から起算して3営業日以内に差押の申請を提出し、且つ担保金(CNY10万元以下)を提供しなければならない。
(3)税関が貨物を差押え、貨物の権利侵害状況について調査と認定を行う。
(4)税関が処罰決定を下す。権利侵害を認定した貨物について、没収を行い、法に基づいて処分する。税関が権利侵害貨物の荷送人と荷受人に対し罰金を課す権利を有する。
(5)税関は権利者に対し費用清算と担保金返還の手続を行う。
4、税関登録のメリット
(1)知的財産権の事前税関登録によって、中国税関が自主的に侵害貨物の発見を行ってくれるので、侵害品が中国から国際市場に流出すること、または外国から中国に流入することを避けることができる。
(2)税関による知的財産権の保護の範囲は広くて、中国全土の各地方の税関に及んでいる。
(3)税関が侵害貨物を没収し、輸出入の企業に対し処罰することによって侵害の発生を予防する効果がある。
(4)税関にホワイトを提供することができ、関係者の貨物の差し止めを少なくし、模倣品の差し止め効果を上げることができる。
中国税関の統計データによりますと、2018年に全国で知的財産権の保護措置を4.97万回を講じ、侵害貨物を4.72万回を差押えました。その中、税関の職権による差押えが主であり、差押え総数の96.96%を占めます。また、差押えた貨物の総数のうち、商標権侵害の貨物が96.70%を占めます。中国での模倣品への取締方法として、税関登録、特に商標権の税関登録は有力な手段の一つです。