国家知識産権局が商標審決取消訴訟一審における敗訴率について
時間: 2019-11-18 李麗芳 アクセス数:

ここで、2015年から2018年までの中国国家知識産権局が商標評審審決取消訴訟一審における敗訴率及びその敗訴理由をまとめて分析する。

 

下記、国家知識産権局による公開データで示しているように、中国商標審決取消訴訟一審における国家知識産権局の敗訴率が年々向上していて、2018年は26.7%に達した。

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なお、審決取消判決書でよく提示された敗訴理由、と過去3年でそれぞれの理由により敗訴した案件の比率は下表の通りである。

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下記、国家知識産権局による公開データで示しているように、中国商標審決取消訴訟一審における国家知識産権局の敗訴率が年々向上していて、2018年は26.7%に達した。


審査期間を短縮するために、2018年に、国家知識産権局は猶予審査の基準を規定した。即ち、出願日以降に、引用商標に対して不使用取消審判や無効審判を提出した場合、商標出願拒絶査定不服審判に対する猶予審査請求は認められない。これにより、国家知識産権局は引用商標への不使用取消審判や無効審判の審決を待たずに、拒絶不服審判の審決を下すことになった。これに伴い、審決取消訴訟の段階で、引用商標への不使用取消審判や無効審判の審決により拒絶査定不服審判の審決が逆転された案件が増えてきた。また、拒絶査定不服審判中、出願人は引用商標所有人による併存同意書を取得できていないが、審決取消訴訟の段階で取得できたため、拒絶査定不服審判の審決が更に逆転された案件もある。つきましては、上表のように、2018年に、事情変更の理由による敗訴率は大幅に向上し、42.4%にも達した。更に、商標類否の理由で敗訴した案件の比率は16.20%であり、2018年の敗訴理由の第二位も占めているが、2016年、2017年より既に下がってきた。実は、拒絶査定不服審判において、裁判所と国家知識産権局とは、商標類否の判断に関する意見が通常一致している。

 

また、下図の通り、2017年の拒絶査定不服審判の敗訴率は27.7%にも達したが、その中、事情変更以外の理由で敗訴した案件の比率はただ7.5%だけである。絶対理由を除き、商標類否の理由で敗訴した案件が5%以下であると推測した。

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更に、上表で示しているように、2018年に、商標法第10条第1項第8号に規定の「不良影響」、商標法第10条第1項第7号 に規定の「欺瞞性を帯び、消費者に商品の品質などの特徴について誤認させやすい」、及び識別力の三つの絶対理由で敗訴した案件はそれぞれ1%、1.8%、2.5%だけ占めた。しかも、この数字は年々下がってきている。よって、上記の絶対理由で拒絶されれば、審決取消訴訟で成功する可能性が非常に低いと思われる。

 

最後に、不使用取消審判の敗訴率は他の案件より高い。その主な理由として、不使用取消審判の案件は訴訟段階に入った場合、審判の段階で提出した使用証拠の原本を提出する必要があり、証拠の真実性、関連性、合法性及び使用商標・使用商品と登録商標・登録商品の一致性に対する審査は非常に厳しくなることである。


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